メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2017年12月19日

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いであつし (いで・あつし)

コラムニスト

1961年、静岡県生まれ。コピーライター、「ポパイ」編集部を経て、コラムニストに。共著に『“ナウ”のトリセツ いであつし&綿谷画伯の勝手な流行事典 長い?短い?“イマどき”の賞味期限』(世界文化社)など。
 

 「僕もこの会社に入る前は大手のジーンズショップで働いていたのでアパレルの経験はありました。でもバッグを作ると言ってもここにある帆布やミシンはテントを縫う工業用ですからね。ならば逆転の発想でここにあるものでしか縫えない丈夫なバッグを作ろうと生まれたのが、佐藤防水店のバッグです」

ぶ厚い2号帆布を使ったトートバッグのハンドル(持ち手)部分を叩いてなめす職人の手

 帆布は厚みによって1号から11号の段階に分けられている。通常使われるのは10号や11号で、スーパーの買い物などに持参するエコバッグがそのくらいの厚さだ。佐藤防水店のバッグに使用する帆布は2号から6号。最も厚い2号帆布は、なんとベルトコンベアのゴムバンドの下生地にも使われている。

 「そのくらいの厚さだと、最初の頃はバッグを縫うと糸目がバラバラになったりミシン針が折れてしまうこともしょっちゅうでした」

 そう話しながらカタカタとミシンを踏んでバッグ作りを実演してくれる野田さん。簡単そうに見えるが、2号帆布を重ねた箇所は厚さ1センチほどにもなり、この厚さを縫うには専用のミシンと職人の熟練した縫製技術が必須である。ちなみにLLビーンのトートバッグの帆布の厚さは6号ぐらいだそうだ。

 「LLビーンと比べられるなんて光栄です。もっと生産体制を整えたいのですが、なにしろ一つ一つ職人が縫っているので1日6~7個が限度なんです。でも丈夫さなら、佐藤防水店のトートバツグは負けてません!」

 カッコいいなぁ。大分は〝おんせん県〟だけじゃありません。若者たちが頑張っているお洒落な〝帆布バッグ県〟なのであります。

【大分市内めぐり】
(写真上左)亀塚古墳公園。県下最大規模の前方後円墳で5世紀初めの造
(写真上右)大分県には磨崖仏が多い。平安時代後期の作という岩屋寺石仏に見入る筆者
(写真下左)府内城跡(大分城址公園)にいた猫
(写真下右)佐藤社長の好きな場所、かんたん港園

(写真・阿部吉泰)

●有限会社 佐藤防水店
<所在地>大分市西新地2-1-4
☎097-579-6500
<URL>https://sato-bosui.com/

  
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◆「ひととき」2017年11月号より


 

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