中島厚志が読み解く「激動の経済」

2010年12月22日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

経済産業研究所理事長

1952年生まれ。東京都出身。東大法学部卒業後、75年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。パリ興銀社長、日本興業銀行調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミストなどを経て現職。著書に『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『日本の突破口―経済停滞の原因は国民意識にあり』『世界経済連鎖する危機―「金融危機」「世界同時不況」の行方を読む』(東洋経済新報社)など。

 2009年の落ち込みの反動増や財政刺激策が一巡し、 先進国を中心に世界経済は緩やかに減速している。2011年も、先進国経済では財政緊縮による景気下押しが続くこととなろう。一方、資源国・新興国経済は引き続き高成長が続くことが見込まれる。

 もっとも、2011年の世界経済には不透明感が強い。中国では、物価上昇率が高まっていてバブルや金融引き締めなどによる景気減速懸念が強まりつつある。また、ギリシャやアイルランドなど財政赤字問題に揺れているユーロ圏諸国は、財政赤字の削減を強めている。

 一方、世界経済の成長上ぶれへの期待もある。米国ではクリスマス商戦が今のところ好調で、景気が順調に回復するとの見方も出ている。方向性が見えにくい2011年の世界経済をどのように理解すればよいのか、以下述べてみたい。

先進国は財政緊縮で成長鈍化

 2011年にかけての世界経済では、金融危機後に各国で急増した財政支出が縮小して、程度の差こそあれ各国・地域の成長率を押し下げることとなろう。

 IMFによれば、2011年の財政赤字(構造的プライマリー・バランス)は世界平均で潜在GDP1%程度縮小することが見込まれている(図表1)。つまり、2011年の世界経済成長率には財政面から1%程度の下押し圧力が加わるということだ。

 平時の成長率が2~3%程度である先進国に限れば、1%の下押しは小さくない。しかし、この程度の財政緊縮は世界経済を再び不況に陥れるほどの規模ではなく、2011年も世界経済の緩やかな回復は維持されると見られ、先進国経済も二番底に陥るのは回避されよう(図表2)。

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