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2018年2月10日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 RE100、という試みがある。世界のトップ企業の中で「企業が利用するエネルギー源を100%再生可能なものにシフトする」という誓約を行った企業を宣伝、サポートしていこう、というものだ。

 この企業の中にはアップル、アドビ、グーグル、フェイスブック、eBayなどの米IT大手、家具のイケア、AVIVA、 AXAといった欧州の大手保険会社、バンカメ、シティなどの銀行、自動車メーカーBMWやGM、飲料品会社のコカ・コーラなど様々な企業が含まれる。日本企業としてはリコー、積水ハウス、文具などの販売会社であるアスクルが参加している。

(GaryKavanagh/iStock)

 RE100は2014年にニューヨークで開催された世界環境ウィークをきっかけに設立され、全体のオーガナイズを行っているのはザ・クライメート・グループという非営利団体、提携しているのは環境問題推進を訴える非営利チャリティ団体CDPだ。参加を表明した各企業は100%再生利用エネルギー達成年度を目標として公表することを推奨されている。

 しかし現状でこうした企業が100%再生利用可能エネルギーにシフトするだけのリソースが整っていない、という問題点が指摘される。米国での2016年の実績を見ると、総電力のうちエネルギー源を天然ガスとするものが33・8%、石炭が30・4%、原子力が19・7%、とこれだけで全体の85%近くを占める。再生可能エネルギー利用のものでは水力が6・5%、風力が5・5%だ。つまり電力源として再生利用可能エネルギーはまだまだマイナーな存在と言える。

 最も最近になってRE100に名乗りを上げたのは米携帯電話大手のTモバイルだ。1月29日、Tモバイル社CEOジョン・レジャー氏は「2021年までに企業が使用する電力を100%再生利用可能エネルギーにシフトさせる」と発表した。同氏によると「再生利用可能エネルギーにシフトするのは顧客にとってもメリットであり、企業としての社会責任だ。また再生利用可能エネルギーを利用することで今後15年間でおよそ1億ドルが節約できる」という。

 この目的達成のためにTモバイル社では昨年オクラホマ州のレッド・ダート風力プロジェクトと提携、最大で160メガワットの電力供給を受ける契約を結んだ。レッド・ダートの電力供給能力は300メガワット程度とされるため、半分以上をTモバイルに提供することになる。

 さらに今年1月には新たにインフィニティ・リニューアブル社が2019年から稼働させる予定のソロモン・フォーク・ウィンドプロジェクトとも提携、ここからも160メガワットの供給を受ける予定、としている。合計で320メガワットはTモバイルが年間に使用する電力のおよそ6割をカバーするが、残りは新規の風力などの発電所計画を持つ企業から買い取る、としている。

 ここから分かるのは、100%再生利用可能エネルギーを達成するためには積極的に発電のために投資、そして自社に電力を回すための囲い込みが必要、ということだ。現時点で全体の15%程度しかない再生利用可能エネルギーをRE100に加盟する企業、その他の「グリーン」を標榜する企業が奪い合う、という形にもなりかねない。

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