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2018年2月10日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 またTモバイルではエネルギーコスト削減を目的に掲げているものの、実際にそうなるのかについての疑問もある。米国の電力1メガワット時あたりのコストを比較すると、確かに最も安いのは風力発電で59ドル。次が産業用の太陽熱発電で79ドル。一方従来型の発電では天然ガスが最も安く74ドル、石炭が109ドルとなる。ただし再生利用可能エネルギー全体の平均コストは147ドル、従来型の平均は165ドルとなる。

運営管理費が従来型に対して高くつく

 一見すると再生利用可能エネルギーが価格面で有利に見えるが、こうした技術にはO&M(オペレーション・アンド・マネジメント、運営管理)が従来型に対して高くつく、という問題点もある。例えば太陽光、太陽熱発電についてはパネルを常に清掃する必要があり、大量の水が必要になりコスト増につながる。

 次に問題となるのは再生利用可能エネルギーをいかに安定供給するか、という点だ。自然の力に左右されるだけに、いつも必要とされる電力が供給できる、という保証はない。電力が不足するのも問題だが、時には電力過多に陥ることもある。昨年カリフォルニア州では太陽熱などから得られた電力が供給過多となり、アリゾナ州などに無償で電力を提供した。無償どころか余剰電力引き取りのためにアリゾナなどに料金を支払ったとも報道されたが、具体的な金額などは公表されていない。つまり電力を作りすぎても需要がなければ無駄になってしまう。

 これを解消するために、例えばカリフォルニア州の電力会社、サザン・カリフォルニア・エジソンでは昨年イーロン・マスク氏のギガファクトリーと提携し、巨大な蓄電施設を開設させた。しかし、これが非常に費用のかかるものとなっている。再生利用可能エネルギーそのもののコストが安くついたとしても、こうした周辺費用でかえって高くつくものになる可能性もある。

 今年はテスラの安価EVモデルであるモデル3の本格的なデリバリーも始まる。電力需要は伸びると予測され、再生利用可能エネルギーへの期待も大きくなるなか、動向が注目される。

  
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