2024年5月4日(土)

World Energy Watch

2024年4月22日

 かつて途上国を旅すれば、物価を安く感じた。もちろん外国人用のレストランなど別体系の料金も多くあるが、タクシー料金、街中で買うミネラルウォーターなど、多くのもの、サービスの価格を安く感じた。

 今日本に来ている外国人は、かつて私たちが途上国で感じた物価の安さを実感しているに違いない。昨年米国出張時にシカゴの電車の駅で購入したミネラルウォーターは5ドルを超えていた。日本はミネラルウォーターが1ドル以下で買え、10ドル以下でファストフードではなく、レストランのランチが食べられる国なのだ。そう日本は物価では途上国並になってきたのだ。

 失われた30年間収入と需要は伸びず、規制改革などにより供給は減らなかったのでデフレになった。最近の円安により輸入品の価格は上昇しているが、その典型はガソリン価格だ。

2年以上続くガソリン補助金。対象に軽油や灯油、重油も含まれている(undefined undefined/gettyimages)

 ガソリンの価格を構成する要素は原油価格以外もあるが、原油の価格が大きく影響している。販売価格の内4割程度が原油のコストだが、21年の半ばから円安傾向になり、2022年年初から為替の影響だけで3割程度輸入価格が上昇している(図-1)。ガソリン価格に円安が与えた影響はリットル(L)当たり20円近い。

 政府は、ガソリンを含む燃料油に対して激変緩和措置として22年1月から補助金の支出を続けている(「日本のガソリン価格は世界に比べて高いのか安いのか?」)。

 ロシアが引き起こしたエネルギー価格上昇、インフレに対処するため、欧州主要国も22年にガソリン、ディーゼル価格への補助を行ったが、短期間で終わった。

 なぜ日本だけが2年以上も補助金を続けているのだろうか。軽油、灯油、重油も補助金対象に含まれており、物流業界、宿泊業界、介護業界など幅広い産業が支援を受けている実態がある。脱炭素に向かう中、燃料への補助金を通し家庭と産業を支援するやり方は正しいのだろうか。


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