小林製薬の紅麹を使ったサプリメントを巡る健康被害問題はさまざまな食品に影響を与えている。中でも機能性表示食品やサプリメント、紅麹を使った加工食品に厳しい目が向けられている。実際はどうなのか、検証する。
トクホなら起きなかった?
機能性表示食品は、トクホ(特定保健用食品)と同様に食品に健康効果を表示できる制度で、2015年4月から始まった。トクホが安全性や有効性について国の審査があるのに対し、機能性表示食品は企業が科学的根拠を示せば届け出のみで健康効果が表示できる。
このためか、今回の事案をめぐって、「国のお墨付きがあるトクホなら防げたはず」と指摘する声は多い。自見英子消費者相も3月29日、「まずは制度の検証をやることが大切だ」と機能性表示食品制度の見直しにも言及した。
実は筆者自身、小林製薬の最初の会見を見たとき、「健康被害は機能性表示食品だから起きたのでは」と思ってしまった。機能性表示食品がアベノミクスの規制改革で生まれ、トクホに比べて申請の基準が緩いというイメージがあったためだ。しかし、食の安全に詳しい唐木英明・東京大学名誉教授は「小林製薬の健康被害は機能性表示食品だから起きたわけではない。因果関係はまだ不明だが、健康被害はサプリメントに異物(プベルル酸などの想定していない成分)が混入したことによる。異物混入はすべての食品で起きる可能性がある」と指摘する。
トクホが安全性の審査をしているといっても、製造時の異物混入について国が毎回審査をするわけではない。そう考えれば、機能性表示食品だけをことさら問題視するのは、同食品への風評被害に加担することになりかねない。