ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2011年1月14日

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クリス・ネルソン (Christpher Nelson)

政治ジャーナリスト

アメリカのシンクタンク「サミュエル・インターナショナル・アソシエイツ」所属。特に日本、中国・台湾、朝鮮半島問題に焦点を当てたアジア外交政策のコンサルタント。1970年より下院外交委アジア小委員会のスタッフや上院民主党政策委員会のアジア政策顧問などを歴任した経験により、議会のみならず米政権の内情に詳しい。現在は、外交政策や通商問題のインサイダー情報誌「The Nelson Report」発行。

  およそいかなる客観的基準からしても、12月初旬に前回のWEDGE Infinityのコラムを書いた時にバラク・オバマ大統領が見舞われていた状況と今の状況の違いを比べると、我々はサイエンスフィクションを書いているのか、はたまた、どういうわけか別世界へ移動してしまったのかと問いたくなる気になるだろう。

何もかもひどかったひと月前

 当時は、偶然の成り行きか意図的な結果かは定かでなかったものの、朝鮮半島の戦争のリスクについて、確かな根拠に基づく不安が高じていた。オバマ大統領が置かれた個人的、政治的な立場は実に悲惨で、まじめなアナリストたちが彼を菅直人首相と比べ始めていた(それほどひどかった!)。日米関係そのものは、沖縄を巡る国内政治の泥沼にはまり込んでいるように見えた。

 一方、米中関係は、日本および東南アジアの近隣諸国に対する中国の攻撃的な政策と、人民元相場が適正水準から乖離した通貨のミスアラインメント問題に真剣に対処することを拒む態度、そして北朝鮮を継続支援するという恥ずべき行為のせいで、これまでに輪をかけて厄介なトラブルに向かうかに思えた。

 そして、言うまでもなく、オバマ大統領自身が危険なほど弱体化したと見られていた。諸問題について語る際に明らかに焦点がぼけるようになり、その結果、民主党内で大統領が1期目の任期の残り2年間にわたって米国を効果的に導けるという信頼感が失われたためだ。実際、多くの人は内々にとはいえ率直に、オバマ大統領が2012年の選挙に負けるかもしれないと心配していた。

日米関係、そこそこ良好

 では、現状はどうか? オバマ大統領個人の政治的な「復活」は、12月下旬にジョージ・ブッシュ前大統領時代の3つの減税措置を2年間延長することで共和党との妥協案を打ち出したところから始まった。共和党が下院の過半数を握った新議会がようやく始まったばかりなので、大統領がどれほどうまくやっているかは後のコラムに譲ることにしよう。

 今月は、北アジアの政策問題のみに的を絞って論じていきたい。明らかに、様々な中国「問題」が依然解決されていないし、未解決の問題ならあと20個は挙げられる。そうした問題については、おいおい議論しよう。

 だが、日米関係はどうか? 次の失望に見舞われるまでのことかもしれないが、日米関係はひとまず、互いを尊重する大人同士の対話の軌道に戻ったように見える。

 本稿を執筆している最中には、前原誠司外相がワシントン訪問を成功裏に終えようとしているところだった。少なくとも大いに求められていたPRに関しては大成功を収め、ホワイトハウスと国務省での会議は脚光を浴び、ワシントンの重要な「シンクタンク」、米戦略国際問題研究所(CSIS)での講演は好評だった。

前原スピーチ、概して好評

 前原外相は講演で、普天間問題の混乱に率直に言及する一方、5月28日にまでに何らかの形で沖縄県民と分別ある合意をまとめる期限を守る、という菅首相の約束を繰り返した。我々が国務省と国防総省から得ている反応は好意的だ。日本の民主党連立政権が依然国内で政治的に弱いことを考えると、多少楽観的すぎるかもしれない。

〔編集部注:前原外務大臣外交演説「アジア太平洋に新しい地平線を拓く」
(2011年1月6日正午~、於:ワシントン市内の戦略国際問題研究所(CSIS))
外務省HPへ〕

 以下は、ネルソン・リポートの顧客に伝えた内容だ。

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