田部康喜のTV読本

2018年3月28日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 メルトダウンが連続して起きた福島第一原子力発電の大事故から7年。NHKスペシャルはその原因の追究を続けて、File.7(3月17日放送、3月29日午前1時~再放送予定)に至った。政府、東京電力や原子力の専門家のインタビューと事故に関するデータ分析、それに加えて再現ドラマの手法は一貫して変わらない。

(写真:TEPCO/ロイター/アフロ)

3月17日・18日に何が起きたのか

 File.7の焦点は、メルトダウンが起きた直後は放射性物質の排出量が増加したのは理解できるとして、その後の3月18日から20日にかけてメルトダウン直後とほぼ同じレベルの放射性物質が、原発に近い観測点において観測されていた事実が明らかになった。その量は、原発事故による放射性物質の実に4割を占めていたと推定される。

 福島県双葉町の観測点に設置された機器が記録していた。空気中のセシウムについて、1時間ごとの推移がわかった。分析したのは、首都大学東京の大浦泰嗣准教授のチームである。

 1日当たりの放射性物質の量が最も多かったのは、1号機がメルトダウンした後の3月12日である。15日に2、3号機がメルトダウンしている。しかし、量が多い二番目が20日、三番目が18日、四番目が19日である。

 取材班は、量が急速に増える18日とその前日の17日の二日間に謎を解くカギがある、と考えた。インタビューの対象者は500人以上に及んだ。政府の対策本部と東京電力などがやり取りしたファックスは2万枚以上を入手した。さらに、東京の対策本部と第一原子力発電所の吉田昌郎所長らを結んだテレビ会議の内容について、人口知能を使って分析した。

 原発事故がなぜ起こり、メルトダウンの連続という世界で最悪の事態に陥ったのか。それを防ぐためには今後どのような施策が必要なのか。今回のFile.7もこうした視点に立った力作である。

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