中国メディアの裏側(3) 
ネットの力を味方に


福島香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト。
大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、 2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。著書に『潜入ルポ 中国の女―エイズ売春婦から大富豪まで』(文藝春秋)、『中国のマスゴミ―ジャーナリズムの挫折と目覚め』(扶桑社新書)、『危ない中国 点撃!』(産経新聞出版刊)など。日経ビジネスオンラインで「中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス~」連載中。

中国メディアの裏側(全3回)

共産党中央宣伝部によって、メディアのすみずみまで言論統制が敷かれる中国。中国で記者として活躍後、フリージャーナリストとして中国の裏側を報じ続ける著者が、そのカラクリを明かす。

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今年は例年にまして報道統制の網の目が細かくなり、編集局に宣伝部から「閲評員」まで送り込まれるのだから、いかに挑戦的でやる気ある記者や編集者たちも苦労させられるだろうと想像する。だが、同時に昨年あたりから微博(マイクロブログ、中国式ツイッター)を活用して、統制の網の目をすり抜ける記者も出てきた。中国国内は、いわゆるツイッターが禁止されネット統制でアクセスできないようになっているが、そのかわり中国当局が管理できる微博が新浪など数社の大手ポータルサイトにより運営されている。その国内限定の微博ユーザーですら昨年10月段階で1億2500万人に上るので、この影響力は実は馬鹿にならない。もちろん、中国当局が管理しているので、敏感な言葉は削除され、検索もできなくなっているし、敏感な発言をする人物はアカウントが抹消される。ちなみに私も最近、新浪微博のアカウントが抹消された。別に大して書き込みもしていないのだが。

 しかし敏感な言葉を削除したとしても、その削除までに数分あれば何百、何千人に情報を拡散できるこのネットツールは、新聞記者にとっては「神様からの贈り物」というぐらい便利なものらしい。たとえば2010年9月に発生した江西省宜黄県の強制立ち退きに抵抗する焼身自殺事件も、当初は県政府が隠ぺいしようとしたが、鳳凰週刊誌記者が微博に短い記事を発信したことで、瞬く間にして広まり、世論が記者や被害者の味方になれば、もう簡単には隠ぺいはできなくなり、県の書記らが免職となった。

 話はそれるが、ツイッターといえば先日、「中国版ジャスミン革命」の呼びかけが流れた。ジャスミン革命とはチュニジアでおきた政権交代で、ツイッターなどのソーシャルネットワークシステムを通じて広がったことから「ツイッター革命」とも呼ばれている。「中国版ジャスミン革命」は2月20日午後2時に中国13都市の指定された場所に集まりスローガンを叫ぼう、という内容で、最初は米国を拠点におく反共的華字ニュースサイト博訊の掲示板に投稿されたものが、ツイッターでリツイートされながら広がった。ツイッターは中国国内でアクセス禁止されている。とはいえ、20万人くらいは大陸からネット統制よけのソフトを使ってアクセスしているユーザーがいるので、すぐに国内のネットでもこの呼びかけは転載された。

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