WEDGE REPORT

2018年7月23日

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米山秀隆 (よねやま・ひでたか)

富士通総研経済研究所 主席研究員

1986年筑波大学第三学群社会工学類卒業。89年筑波大学大学院経営・政策科学研究科修了。野村総合研究所、富士総合研究所を経て現職。専門は、住宅・土地政策、日本経済で、特に空き家問題に詳しい。主な著書に『限界マンション』『空き家急増の真実』(日本経済新聞出版社)などがある。

全国で空き地・空き家が急増し、登記簿などの情報を見ても直ちに所有者に辿り着くことが難しい所有者不明の物件が増えています。所有者不明の土地にいたっては、いずれは北海道の面積に相当するだろうと言われるほど。これまで価値があるとされてきた不動産ですが、マイナス価値の「負動産」と化しているのが現状です。こうした問題の有効な対策について、空き家問題に詳しく、『限界マンション』『空き家急増の真実』などの著書がある米山秀隆さんに、新刊著書『捨てられる土地と家』(ウェッジ)をもとに3回に分けて解説いただきます。
(bee32/iStock/Getty Images Plus)

増える空き家、空き地、所有者不明土地

 総務省「住宅・土地統計調査」によれば、2013年の全国の空き家数は820万戸、空き家率は13.5%となり、10年前に比べ、空き家数は107万戸増加、空き家率は1.3ポイント上昇した。

 空き地も増えており、国土交通省によれば、世帯が保有する空き地は2013年に151万件(981k㎡)に達し、10年間に比べて45万件、300k㎡増加した。空き家が解体された場合、跡地は空き地となるが、利活用が有望でない空き家の敷地は2013年には272万件(830k㎡)と、10年前に比べて92万件、323k㎡増加した。

 空き家、空き地の中には、登記簿などの台帳を見ても、所有者が直ちに判明しないか判明しても連絡がつかない物件も増えている。人口減少が進む中、相続時に登記されない物件が増えていることによる。

 空き家、空き地、所有者不明土地問題の深刻さは増すばかりであるが、今年は総務省「住宅・土地統計調査」の5年に1回の調査年に当たり(10月1日時点で調査)、空き家の最新動向が2019年に判明する。この連載では、対策がどこまで進んだのかについて見ていく。

空家法とその効果

 空き家については、2015年5月に全面施行された空家対策特別措置法(以下、空家法)において、(1)倒壊等保安上危険、(2)衛生上有害、(3)景観を損なうなどの状態が著しくなっているものを「特定空家」と認定し、助言・指導、勧告、命令、代執行の措置を行えるものとした。また、空家法では、従来、代執行ができなかった所有者がわからない場合も代執行できるようになった(略式代執行)。

 同時に、2015年度税制改正では、勧告の対象となったものは固定資産税の住宅用地特例を解除することとした。住宅を建てた場合の税軽減の仕組みは、住宅が足りない時代には住宅取得を促進する効果を持ったが、住宅が余っている現在では、危険な住宅でも解体せず残しておくインセンティブを与えていた。

 このように空家法と税制改正によって、特定空家の所有者に対してプレッシャーが強まった。これが空き家所有者の行動に与える影響としては、特定空家にならないように維持管理を行う、賃貸化するなど物件を活用する、維持管理コストと将来的な税負担増を考えて売却するなどの選択を行うことが考えられる。

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