WEDGE REPORT

2011年7月27日

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 東日本大震災をきっかけに節電や災害対策への意識が高まり、今年の夏は様々な商品が発売されている。一際目を引くのが「氷ビール」と「水電池」。開発までの苦労や技術的ポイントはどこにあるのか。

氷で割るデメリットを
メリットに変えた「氷ビール」

 「ビールに氷?」

 記者自身、ぬるいビールを急いで冷やすために試したことはあったが、炭酸が弱くなり、味も薄くなったので、がっかりした経験がある。キリンビールが今年の夏限定で、「アイスプラスビール」という氷を入れて飲むビールを発売すると聞き、実際に飲んでみた。

 氷がほとんど溶けていない状態では、麦芽やホップの甘く強い香りが口の中に広がり「ビールを煮詰めるとこんな感じになるのだろうか」といった印象を受けた。だが、時間が経過するに従って、普段飲むビールの濃さに近づいていく。味の薄さも炭酸の少なさも気にならず、ぐいぐいいける。氷にビールをつぎ足す感覚も、ウィスキーのようで面白い。

アイスプラスビールは、全国のコンビニ限定で、7月27日から8月末頃まで発売(数量限定)。店頭価格は217円前後。

 「アイスプラスビール」は、「氷を入れるとコクが引き立つ」という逆転の発想で勝負したビールである。冷蔵庫で冷やしただけのビールは4~8度だが、氷を入れることにより0度近くに保たれる。節電の影響で、室温が高くなるシーンで需要がありそうだ。

 もともと、氷を入れようという発想は、若者を中心にビール離れが進むなかで、いかにして飲む楽しみに気づいてもらうかと思案するなかで生まれた。同社マーケティング部の吉野桜子さんによれば、ビールには、カクテルだけでなく、凍らせた黒ビールにクリームをのせる食べ方や、泡だけを凍らせる飲み方など、実は多様なレシピがあるという。

 開発チームで様々な飲み方を検討し、消費者に調査した結果、ビールに氷を入れたことがある人が半数以上いることを発見。ワインや日本酒においても、ロックやソーダ割りといったスタイルが拡大していたため、受け入れられる素地はあると判断した。社内の反応も悪くなかったため「氷のビール」というコンセプトを昨年には固めていたそうだ。

氷結などの開発を担当してきたが、ビールは今回が初めてという吉野桜子氏。

 ただ、ここで疑問となるのは、氷を足しても薄まったように感じない理由。そこをどう克服したのか、同社商品開発研究所の妻鳥奈津子さんに教えてもらった。

 「酵母、ホップ、乳糖の3つがつくりだす『甘さ』で、味にボリュームがつき、薄さを感じにくくなっています」

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