☆平安京以前の京都には何があった!?
ディープな視点で京都の神社と歴史の深層を探る
ユニークな歴史教養本が登場。
京都というと、遷都後の平安時代以降の仏教・寺院というイメージが強いかもしれない。だが、遷都前からの歴史の古い神社もじつは多く、これらは平安時代以降のイメージに隠されてきた。
意外にも、京都市周縁部には、平安京成立以前から祀られていた古社が多い。
また、2つの賀茂神社は京都の地主神ともいえる古社だが、伝承によれば、その祭神は大和(奈良県)から木津川・賀茂川に沿って漸次山城(京都)方面に移ってきたことになっており、面白いことにそのルート上には賀茂神を祀る古社が点在している。
さらに、京都は秦氏をはじめ渡来人が早くから進出していた地でもあり、それに関係した神社が多い。
本書では、これらの京都の古社に焦点をあて、その隠された魅力とともに、知られざる平安京以前の歴史的経緯を掘り下げ、豊富な写真とともに京都の深層に迫っていくもの。
<本書で取り上げる古社の例>
◎知られざる「京都」の原点…「宇治上神社と宇治神社」
◎古都の水を司る名社…「貴船神社」
◎賀茂神伝説の里…「岡田鴨神社」
◎賀茂信仰のゴール…「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」
◎秦氏王国の古社…「大酒神社と木嶋坐天照御魂神社」
◎京都の「月の里」…「葛野坐月読神社」
◎丹後の内宮・外宮…「皇大神社と豊受大神社」
<本書の目次>
第1章 京都の地主神をめぐる
宇治上神社、貴船神社、石座神社 他
第2章 賀茂神の軌跡をたどる
岡田鴨神社、久我神社、賀茂御祖神社 他
第3章 古都を育んだ渡来人の信仰
松尾大社、大酒神社、八坂神社 他
第4章 神話・伝説の舞台を訪ねる
葛野坐月読神社、籠神社、宇良神社 他
「はじめに」より抜粋――
桓武天皇が京都盆地の中央に新たに造営された都に入ったのは、延暦13年(794)10月22日のこと。山々と川に四方を囲まれ、天然の城のごとき形勝をそなえたこの新都は、平安が続く都となることを願われて、ほどなく平安京と名づけられた。
京都の歴史はこの西暦794年の平安遷都をもってはじまる――と思われがちである。
たしかに、〝都〟としての京都の歴史はそうである。そもそも、地名としての「京都」(「天子が居住する場所」という語議をもつ)という言葉は、平安遷都以後に生じたものだ。
しかし、この遷都以前、京都の地が不毛で、人がほとんど住んでいなかった、というわけでは全くない。水の豊かなこの土地には、縄文時代・弥生時代から人びとが住み暮らしていて、古墳時代・飛鳥時代・奈良時代と時代をへるごとに独自の発展を重ねてきていた。京都は、遷都にいたるまでに、長い前史をへていたのだ。
そして、人が生活していれば、必ずそこに信仰が生じる。古代日本の場合でいえば、住民たちはその土地に根ざした神を崇め、社を建てて祀る。そして、豊穣や息災を祈る。このことを証するように、京都盆地のそこかしこには平安遷都以前から神社が鎮まり、そこに住む人びとから手厚い祭祀を受けていた。
桓武天皇は遷都の3日後に、賀茂神と松尾神に神階を加えている。賀茂神は京都盆地を潤す賀茂川の岸に鎮座する賀茂神社(下鴨神社・上賀茂神社)、松尾神は同じく桂川の岸に鎮座する松尾大社で、ともに古くから地主神としてその地に祀られてきた神である。これらの神々に対して遷都後ただちに新たな神階を授与したというのは、桓武天皇が土着の神々を尊重し、土地に深く根差した神社を大切に考えていたことの裏返しだろう。
そんな京都土着の古い神社に焦点を合わせ、それらの古社をめぐる歴史や信仰の深層を探ってみようというのが、本書のテーマである。(以下略)
【お詫び】『京都古社に隠された歴史の謎』の誤植につきまして
2024年6月20日刊行の『京都古社に隠された歴史の謎』の初版につきまして誤植がございました。深くお詫び申し上げますとともに、下記の通り訂正させていただきます。
●表紙(表1)のタイトル表記
【誤】京都古社
↓
【正】京都古社に
第2刷以降の重版分から訂正して出荷いたします。
読者の皆様、書店様にご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。製作過程を見直し、再発防止につとめてまいります。
今後ともウェッジ社の書籍をご愛顧くださいますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。