古(いにしえ)より、鬼と喰うか喰われるかの「戦い」をしてきた日本人。酒呑童子をはじめ、ナマハゲ、節分の鬼、雷神、羅城門の鬼などに登場する鬼は、どれも見た目は人間のようでありながら、角をもち、恐ろしい形相であるなどの特徴をもっている。
古くは日本書紀や風土記にも記述があるが、多くは歴史や文化の周縁の域に追いやられつつも、日本人にとっては存在を消し難い、畏怖の対象でもあった。
漫画『鬼滅の刃』が老若男女問わずブームとなったが、そこで描かれる世界観も日本古来の鬼および鬼退治をモチーフにしており、日本人の精神的な深奥に潜む「恐ろしいもの」への畏怖、そしてそれへの克服がある。
本書では数多くの伝承・伝説・説話・芸能・絵画などが物語る「鬼」の実像に迫り、現在の鬼滅ブームに至る過程を民俗学的に読み解いていくもの。
◎本書の目次
第1章 鬼と異形の系譜――古典・伝説に現れた異類たちを読み解く
第2章 日本の闇に蠢く「異形のもの」列伝――異界からの訪問者を総覧する
第3章 呪術者・異能者たちの群像――怪異と対峙した「鬼殺隊」の原像
第4章 鬼と出会える聖地――闇の民俗とパワースポットをめぐる
【コラム】
1 鬼舞辻無惨と八百比丘尼
2 竈門炭治郎と炭焼長者
3 「全集中の呼吸」と剣術
4 竈門炭治郎と竈門神社