カナダで感じた異国情緒
8月末から本格的に授業が始まるとしばらく遠出もできないなと思い、カナダにドライブ旅行に行ってきた。レンタカーを借りて4日間。ケベック、モントリオール、オタワ、キングストンを結ぶいわゆる「メープル街道」を巡った。
まずはボストンから北上しケベックを目指した。紅葉の季節は10月ごろだそうで、まだ少し早いが夏にしては涼しい気候になっており、だんだん秋が近づいてきているのがわかる。車でアメリカとカナダの国境を越える時は少し緊張したが、カナダに何日滞在するのか、など短いやりとりを経てカナダ側に入ると、広大な山道が広がり爽快な気分になった。国境を越えるとすぐに道路脇の看板の表示はフランス語に代わり、距離の表示もアメリカ側のマイルからキロ(㎞)に変わる。
ケベックの街に入るとフランス風の建物が多く立ち並び、ここが北米だということを忘れてしまうほどだ。ケベックは特にフランスの雰囲気を強く残しており、落ち着いた街並みが広がっていた。セントローレンス川沿いに建つ高級ホテル「シャトー・フロンテナック」はケベックのランドマークになっており、ホテルの歴史によると1944年に第二次世界大戦の対応を話し合う「ケベック会議」が開かれた際の舞台となり、米ルーズベルト大統領と英チャーチル首相などが訪れたという。
近くのケベック州議会議事堂では、議会発足から125周年ということで議事堂内をめぐる英語とフランス語のツアーをやっており、英語のツアーに参加して立派な議事堂の内部を見ることができた。ケベック州はカナダ連邦からの分離独立運動がこれまであった経緯からか、議事堂内でカナダの国旗を目にしなかったことが印象的だった。
3000人の白い集団の正体
次に訪れたモントリオールはカナダ第2の都市で、雰囲気は日本の大阪といった感じだ。滞在中、白い衣装に身をつつみ、白い持ち物ばかりをもった大勢の男女が市の中心部の公園に集まり、それぞれ持ち寄った料理で夕食を楽しむ「ホワイト・ディナー」という催しに偶然出くわした。
3000人ほどが集まって、白い服装で食事を取る様は不思議な光景だった。最初は何か宗教がらみの集団かと思ったが、集まった人に聞いたところ、そういったこととは全く関係なく、ただの楽しみのためのお祭りだという。ただ、過去の参加者の招待がないと新しいメンバーは参加できないということで、完全にオープンなイベントでない。このあたりが参加する人の優越感をくすぐるらしい。北米ではこれまでモントリオールのほかニューヨークやケベックなどでも開いたそうで、いずれ日本にも伝播して開かれるのかもしれない。
首都のオタワの国会議事堂も美しく、議事堂をスクリーンにして、カナダの多様性や国の美しさをアピールする夜のライトアップイベントを興味深く見た。夏の間やっているようで、日本の国会議事堂でもやってみたら、それこそ多くの人が関心を持つのではないか。
全走行距離は1400マイル(約2200キロメートル)と長かったが、まっすぐな道が多く、疲れはあまり感じなかった。これまで日本でこんな長距離を運転したことがなかったので、良い経験になった。