青山学院大学シンギュラリティ研究所 講演会

2019年3月9日

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ゴン川野 (ごん・かわの)

フリーランスライター

小学生より写真とオーディオをはじめ、高校では写真部部長として暗躍。コピーライターを経て雑誌ライターに転職。バブル期にオーディオ誌で荒稼ぎしてハイエンド機器を揃える。現在はアップル株値上がりで撮影スタジオ兼リスニングルームの新築を画策中。阿佐谷在住。合資会社GON代表。

 青山学院大学シンギュラリティ研究所設立記念講演会の後期3回目に登壇するのアマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下AWS)パブリックセンター技術本部 本部長 福与直也氏である。クラウドサービスがAIに欠かせない存在であり、IT業界の革新的な技術の進化にいかに寄与しているかを語ってもらった。

福与氏(写真・小平尚典)

クラウドサービスとAIの関係

 クラウドサービスとAIにどんな関連性があるのでしょうか。それは、クラウドサービスの発展と共にAIの進化に寄与したという背景があります。例えばディープラーニングですが、技術としては20年ぐらい前からありました。しかし、クラウドサービスがなかった時代は、高価なリソースを保有しないと十分な結果が得れないというジレンマがあり、第3次AIブームまで待たなければならなかったという事実があります。

 ではそのクラウドサービスとは何でしょうか。アマゾンのクラウドサービスはそもそもEC サイトから始まり、本を売る、そして現在では多種多様な製品を扱っています。これが最も大きな柱です。2つめがセラー向けサービスで、アマゾンが販売しているもの、それ以外にセラーの皆さんがサイトを有効活用されて販売しているもの。そして3つ目が近年、非常に大きな柱になってきているAWSです。

 アマゾンはECサイトなので時期によって大量のリソースを必要とすることがあります。会員が1億人いるので、これを処理するためには、大量のコンピュータリソースが必要です。これが季節によってバラツキがあって12月は必要ですが、4月になると余ってしまう。これを何とか有効活用できないかと考えて、一般のお客様に貸し出そうという発想で始まったのがAWSのサービスです。

 1778億ドルの売上の中で、AWSの売上は174億ドルです。ただし、これを利益で見るとアマゾン全体の半分はクラウドサービスから展開されています。とても多くの方が利用しています。例えば米国政府、CIA、シンガポール政府にも使っていただいています。

アマゾンの中で値下げを続けいているもの

 アマゾンにはいかに安く品物をお客様に提供できるかを常に考えています。その発想から生まれたのがAWSです。余剰コンピュータリソースをいかに活用できるか。これが目指すところは、低コスト、低価格、品揃えになります。低コスト、低価格で顧客満足度を高めて、顧客数を増やす、そして品揃え充実させていきます。AWSは過去、11年間で67回以上、値下げをしています。

 

 皆さんのお手元にiPhoneやAndroidのスマートフォンがあると思いますが、これらの値段は上がってきていますね。また、ソフトウエアのOfficeなども値上がりしていきます。これが一般的なIT業界のビジネススタイルです。アマゾンはいかに値下げしてより多くの顧客を確保していくかというイノベーティブな発想を持っています。なぜアマゾンがクラウドを立ち上げたのかと言えば、リソースのこともありますが、アマゾンは顧客データや注文履歴を管理しなければならない、注文された製品をデリバリーしなければならない、管理の必要なデータがどんどんどん増えていきます。従来型のデータ管理では、どうしても限界が来ていました。この問題を解決するために先端技術を使って作ったのがAWSの提供するクラウドになります。現在はアマゾンもAWSの顧客になっています。

クラウドの働きとは何か

 AWSの根本的な考え方は、自社で最初からインフラストラクチャを構築せずに、一般企業にアマゾンのクラウドを使ってもらうことです。必要な時に、必要な容量だけ、しかもボリュームメリットを生かして低価格で提供します。例えば100年前には工場を運営するには必ず発電機が必要でした。しかし、現在では工場に発電機はありません。発電所があって送電線経由で電気を運んできて工場で使うというスタイルです。電気代は使った分だけ支払う。IT業界もこの考え方になってきています。今までの企業は自前のデータセンターやITリソースを持っていました。それがクラウドになれば、インターネット経由もしくはVPNや専用線を介して、で必要な時に、必要なだけ使えるようになります。当然、コストダウンできますし、不要なマシンを所有し続ける必要もありません。

 アマゾンがこのビジネスを始めたのが2005年、そして今は2018年ですから、だいたい10年ぐらいです。最初はサーバーの仮想マシンの提供だけでしたが、その後、リソースをはじめ、様々なサービス、ソリューションを提供しており、今日では165以上のサービスを利用いただけます。

 皆さんはPCを1台用意していただくだけで、AIが使えるようになります。例えばキヤノン、NTTドコモ、日本通運、そして最もインパクトの大きい発表は三菱UFJファイナンシャルグールプです。5年間で100億円のコスト削減を見込んでいます。AWSを使えばクラウドのコストを削減できるだけでなく、常に最新の計算能力の高いFUPが使えるというメリットもあります。また、米国ワシントン州警察でも指名手配犯を見付けるためにAWSの顔認識サービスを利用していただいています。

クラウドサービスのメリット

 最近、注目されているIoTサービスもAWSはおこなっています。例えばAmazon Dash Buttonですね。日用品が必要になったら、このボタンを押すだけで購入できます。インターネットに接続された小さなデバイスです。またはゲノム解析にも使われています。現在、我々は20の地理的リージョンを持っています。日本では東京のリージョンを使うケースが多いですが、米国設置のリージョンを使うこともあります。大量のデータを処理するときに利用料が安いというメリットがあるからです。これもクラウドならではの特徴です。さらにネットワークの管理、ストレージの管理などネットワーク設定もブラウザの画面上で操作が可能です。

 では実際にサーバーを構築しようとするとどれぐらいコストがかかるのでしょうか。Webサーバーを2台のマシンで構築するとして、期間は3〜4ヵ月、予算は3000万円ほどかかります。これをAWSでやろうとすると、だいたい月額3万8000円ぐらいで出来ます。構築期間は2時間ぐらいです。

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