Wedge REPORT

2019年2月23日

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 今のところ「悲劇」と評すべきことなのかもしれない。中日ドラゴンズの松坂大輔投手が沖縄・北谷で行われている春季キャンプを離脱。右肩に炎症があるため、ナゴヤ球場でのリハビリを余儀なくされている。今後は2週間程度のノースロー調整となる見込みで、開幕絶望どころか復帰の時期は早くても5月末にまでズレ込む可能性が出てきた。本調子に戻らなければシーズンを棒に振ることになるかもしれないだけに、38歳という年齢面も考慮すると「引退」の2文字もチラつき始める。

(Talaj/Gettyimages)

 ちなみに球団発表によると、キャンプ敷地内で施設移動の際にファンから右腕を強く引っ張られたことで松坂は負傷してしまったという。昨今のプロ野球界では選手たちにファンサービスの励行が求められており、ここまで松坂も率先してファンとの距離感を縮められるように務めてきた。それが皮肉な形でこのような事態を招いてしまうとは、悔やんでも悔やみ切れないだろう。

 しかしどうしても不可解なのは、ヘタをすれば選手生命に直結する負傷となってしまったにもかかわらず球団側がサラッと発表しただけで具体的な行動を起こさずに何ら問題視しようとしていない点だ。

 もちろんこの春季キャンプにおいてファンサービス云々を強調し過ぎるが余り、いとも簡単にファンが所属選手に接触できるぐらいの安易な導線しか敷いていなかったことに対しても球団側には猛省が求められる。だが、それに加えて球団がやらなければいけないのは、この愚行を働いたファンを特定することだ。

 実際に他球団からも「選手にケガを負わせるほど強く引っ張るなんて明らかに意図的だし、とんでもない暴走行為だ」と怒りの声が上がっており、さらには「なぜ中日は警察に傷害事件として被害届を出さないのか」「見せしめのために犯人を挙げておかなければ、今後の再発防止に繋がらないのでは」などといった強硬論も多数噴出している。

 それでは一体なぜ、中日は動こうとしないのか。そういえばつい先日、一部メディアによって「実は松坂本人が自らを負傷に追い込んだファンに対し、社会的責任を負わせることを望んでいない」という松坂の男気が美談のように報じられたことがあった。要はその松坂の意向を汲む形で球団側も犯人の追求を差し控えているという内容だが、それだからといってこのような悪質極まりない行為を不透明なまま幕引きしてしまうのはやはり納得がいかない。

 松坂は中日だけでなく日本球界全体から見てもスーパースターだ。そういう一流の選手が前代未聞の不祥事に見舞われた〝事実〟を本来であれば闇に埋もれさせてはいけないはずであろう。

 ところが――。ここ最近は徐々に、その〝事実〟に対しても疑惑の目が向けられ始めているから穏やかではない。最初は同情的だった松坂への風向きが変わって来ているのだ。

 4月12日放送のTBS系テレビ「サンデーモーニング」に出演した大物OB・張本勲氏が番組内で「ファンは握手したいわね。だからもともと(右肩が)悪かったんじゃないの、松坂は」などと発言。ネット上でも物議を醸すようになり、次第に「松坂は本当にファンから右腕を引っ張られたのか」「最初から右肩に違和感があったので、姑息な理由作りをしただけでは」などという当初とは真逆のうがった見解が散見されるようになった。

 そして張本氏の指摘同様、別の某大物OBも松坂の負傷に対して次のように懐疑的な見方を向けている。

 「張本さんが言うようにやっぱり本当は、もともと右肩を痛めていたのではないか。ファンに右腕を引っ張られてしまったからケガをしたというのは、どうしても後付けの理由としか思えない。何よりも腕を引っ張られたぐらいで負傷するなんて人様よりも鍛えているはずの人間なんだから、そんなヤワな体なわけがないでしょう。百歩譲って本当に引っ張られていたのだとしても、それ程のダメージを受けたのであれば、すぐに痛みや違和感を覚えるだろうから、その時点で大騒ぎになっているはず。だから、この『ファンに右腕を引っ張られたことが負傷の原因』という発表には大きな疑問しか残らない」

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