青山学院大学シンギュラリティ研究所 講演会

2019年3月15日

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ゴン川野 (ごん・かわの)

フリーランスライター

小学生より写真とオーディオをはじめ、高校では写真部部長として暗躍。コピーライターを経て雑誌ライターに転職。バブル期にオーディオ誌で荒稼ぎしてハイエンド機器を揃える。現在はアップル株値上がりで撮影スタジオ兼リスニングルームの新築を画策中。阿佐谷在住。合資会社GON代表。

 青山学院大学シンギュラリティ研究所設立記念講演会の後期5回目後半に登壇するのはファッションベンチャーのニューロープ代表取締役 酒井聡氏である。ルグランがファッション分析用のAIとして活用している「♯CBK scnnr」(カブキスキャナー)を2017年に開発した新進気鋭の企業である。「♯CBK scnnr」を利用したAPI、アプリも実用化され、コーデ提案、SNS分析によるトレンド予測などさまざまな手法でファッション業界のAI活用を実現している。

酒井聡氏(写真・小平尚典)

AIのためのデータを人力で入力

 ニューロープの酒井と申します。私たちの会社が、最初に始めたことは2014年に約300人のモデルさんと契約して♯CBKというファッションサイトを立ち上げることでした。カタログのようにズラリとスナップ写真が並び、このコーデいいなと思って選択すると、似ているアイテムが表示されて購入できる仕組みになっています。スナップ写真とアイテムを紐付ける作業は手作業でおこなってきました。2014年は大手もベンチャーもいろんなメディアを大量に立ち上げていました。そこでPVの争奪戦が巻き起こり、なかなかPVが稼げませんでした。我々の手元にはスナップ写真とアイテムを結びつけた大量のデータがありました。これを使ってAIの開発を始めました。

 AIの開発には長い期間がかかり、途中で資金がなくなって挫折しそうになりましたが、他社のアプリ開発やWebサイト制作などで、しのいで2017年春にファッションAIをリリースできました。

 

カブキスキャナー快進撃

 完成した♯CBK scnnrはいろいろな企業で活用されるようになっています。「MAGASEEK」のアプリでは、ユーザーがSNSや雑敷で見つけたお気に入りの画像、街で見かけた商品などをカメラで撮影して読み込ませると、類似アイテムを1秒で検索して一覧表示します。これらのアイテムの中から気に入ったものを選択して購入できます。

 

 そして、LINEで使える人工知能ショップ店員Mikaです。アイテムに対して、そのアイテムとコーデすると似合うアイテムを数秒で提案するAIです。ガーリー、カジュアル、モードなどのテイストを指定すると、それに合わせたスタイリングを即座に提案してくれます。従来もリコメンドしてくれるアプリはありましたが、それは購入履歴を参照にしていました。♯CBK scnnrは類似性と着合わせからコーデを提案しています。

 
 

ファンションメディアのマネタイズを支援

 ♯CBK scnnrの利用料金は月額設定でかなり安くなっているため、皆さんに気軽に使っていただいています。これはitSnapというメディアですが、記事中にファッションアイテムの画像があれば、それを解析して自動的に商品を提示する機能があります。つまりitSnapの記事を見ていて気に入ったアイテムが表示され、ユーザーが購入するとitSnapにインセンティブが入ってくる仕組みです。

 

 紙媒体でも♯CBK scnnrの活用が試みられています。ディノスのカタログのユーザーの購入履歴に基づいて一人一人に異なる内容のカタログをパーソナライズして、発送するという試みです。

 

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