WEDGE REPORT

2011年11月21日

基地問題に揺れ続けてきた沖縄は復帰40年の節目を迎える。
「本土との格差是正」、「自立型の経済の構築」を目標に
これまで沖縄には10兆円規模の巨額の予算が投下されてきた。
しかし、特別措置によって沖縄は公共事業に依存し
経済の自立への道筋を描けないままとなっている。
来年度から沖縄県が要望する3000億円もの一括交付金は今度こそ沖縄の経済振興につながるのか、それとも新たな依存への道をたどるのか。

*この記事は、WEDGE12月号特集「もうひとつの沖縄問題 10兆円振興策への依存体質」の第2部です。

 沖縄経済を支えるのは3Kだといわれる。基地、公共事業、観光の頭文字をとったもので、この3つの産業が経済の屋台骨という意味だ。なかでも、沖縄振興策による巨額の公共事業で県内の建設業は潤ってきた。沖縄振興の今年度予算2301億円のうち、公共事業は1446億円と63%を占める。沖縄振興とは巨大な公共事業に他ならない。その結果、県内には5000社近い建設業者がひしきめき合い、県内全産業に占める建設業の売上高は8%を上回る。公共事業の削減にあえぐ他の都道府県のなかでは突出して高い(図参照)。だが、この潤沢な公共事業は、貴重な観光資源であるはずの自然を破壊し、公共事業への過度な依存という弊害を生み出している。

青い海を埋め立て人工ビーチ

 沖縄本島の地図を見ると、中部や南部はどこも埋め立て地だらけだ。この10年間に埋め立てで増えた面積が県面積に占める割合は0.2%に達し、全国トップクラス。那覇市から車で1時間かかる中部の沖縄市でも、南西諸島最大の泡瀬干潟沖合を埋め立てる工事が進められていた。干潟は貴重な貝や海藻の生息地であり、県内最大級の渡り鳥の越冬地にもなっている。近くの高台に登ると、沖縄特有の青い海やマングローブが生い茂る海岸で潮干狩りに興じる家族連れの姿の向こうに、ショベルカーなどの重機が作業をしているのが見えた。

 「この工事は建設業者のためだけにやるようなものですよ」

 こう憤るのは、「泡瀬干潟を守る連絡会」事務局長の前川盛治氏だ。泡瀬の埋め立て工事は、総事業費1020億円。このうち357億円が沖縄振興予算から投じられる。計画では、中城湾港新港地区から運んだ土砂で東京ドーム21個分にあたる96ヘクタールの埋め立て地を造成し、スポーツ施設やホテルが建設される予定だ。「白い砂を敷き詰めた900メートルの人工ビーチも計画されてますが、本土からのお客さんがわざわざ沖縄まで来て人工ビーチで泳ぐと思いますか? 沖縄は観光の島です。海岸線を破壊することは、観光振興には自殺行為のはずなのに……」(前川氏)

 じつはこの計画、当初は埋め立て面積を現在の2倍にする予定だった。沖縄市が泡瀬の埋め立て計画をまとめたのが、1990年代のバブル末期。187ヘクタールを埋め立て、6つの宿泊施設を建設し、最大で2925人が宿泊できる一大リゾート施設にしようというものだった。夕日が美しい本島西海岸に観光客が流れるのを食い止めるとともに、地元雇用の創出が狙いだった。

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