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2019年4月9日

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 トランプ米政権は8日、イランの最強軍事組織「革命防衛隊」をテロ組織に指定すると発表、イランも対抗措置として、米国を「テロ支援国家」と認定、中東を統括する「中央軍」をテロ組織に指名した。両国の対立は最高潮にまで高まった感があるが、大統領が強硬方針に踏み切ったのは9日投開票されるイスラエル総選挙でネタニヤフ首相を支援し、ひいては自らの再選のためだ。

(Pe3check/Gettyimages)

ポンペオ、ボルトンが主導

 革命防衛隊をテロ組織に指定するという決定は数か月前からポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ら対イラン強硬派が中心となって検討してきた。これに対し、中東地域に駐留部隊を抱える米国防総省のダンフォース統合参謀本部議長や中央情報局(CIA)は米兵士の危険が高まるとして反対。最終的には大統領が反対論を封じる形で決定した。

 トランプ大統領は声明で「イランはテロ支援しているだけではなく、革命防衛隊を通じてテロに積極的に加担している」と決定の理由を述べた。米国は元々、イランを「テロ支援国家」として認定している。今回の革命防衛隊に対する措置は15日に発効、防衛隊との商取引がテロを支援する行為とされ、防衛隊関係者の米入国も禁じられる。

 米国がなぜ今、革命防衛隊のテロ組織指定に踏み切ったのか。最大の理由はトランプ大統領が盟友のネタニヤフ首相を側面支援するためだ。首相は米国の決定にすぐにツイート。「イランの侵略とテロから世界の安全を守り続けている」とトランプ大統領に謝意を表明した。

 首相は9日実施のイスラエル総選挙で、ガンツ元軍参謀総長が率いる中道連合と激戦を展開、自身が収賄容疑などで起訴される見通しであることもあって、苦戦を強いられてきた。こうした首相に外から手を差し伸べたのがトランプ大統領だった。

 大統領はネタニヤフ首相が訪米した3月末、イスラエル占領下にあるシリア領ゴラン高原について、イスラエルの主権を認める文書に署名した。これに先立ち、昨年5月には歴代大統領が誰もできなかった“係争の聖地”エルサレムへの米大使館移転を強行した。大統領はさらに、オバマ前政権が欧州と組んで実現したイラン核合意からも一方的に離脱、イランへの制裁を再開し、強化した。そして今回、革命防衛隊をテロ組織に指定した。

 国際社会の合意や国連安保理決議を無視したトランプ氏の一連の行動はすべて、選挙で苦戦するネタニヤフ首相を手助けするものであり、結果として自らの再選に向け、イスラエル寄りの国内のキリスト教福音派やユダヤ票の取り込みを狙らっているのは明らか。首相にとっても「トランプ・ファクター」が最大のウリ。トランプ大統領との親密な関係を訴えて支持率を挽回した。

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