World Energy Watch

2019年5月8日

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 今年のノーベル平和賞候補者の推薦は2月末に締め切られたが、78の団体と223名の個人が推薦されたと発表されている。ノーベル財団は候補者名を明らかにしていないが、最有力候補は、スウェーデンの16歳の女生徒グレタ・トゥーンベリ(Greta Thunbergのスウェーデン語読み)と見られている。

ストックホルムの議事堂前に「School strike for the climate」看板を手に立つグレタ・トゥーンベリさん(TT News Agency/AFLO)

 何でも賭けの対象にするロンドンのブックメーカの今年の平和賞受賞予想の掛け率を見ると、彼女が2倍から2.25倍でトップ。次はジャシンダ・アーダーン・ニュージーランド首相の6倍、3位はトランプ大統領の9倍から10倍だ。トゥーンベリが受賞すると史上最年少になる。

 トゥーンベリは、昨年8月15歳の時にストックホルムの議事堂前で、気候変動問題への取り組みを求め座り込みを始めたことで一躍時の人となり、昨年12月ポーランドで開催された第24回気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)、その後も、世界経済フォーラム(ダボス会議)、EU議会、イタリア上院、英国議事堂と様々な場に招待されスピーチを行っている。 

 ローマ法皇にも拝謁しているが、気候変動問題に取り組むためとして飛行機に乗らず、いつも列車で移動しているので日本に来ることは難しそうだ。香港紙のインタビューでは香港に招待されればシベリア鉄道を利用し出かけると答えているので、船を乗り継いで日本に来るかもしれないが。

16歳少女の行動力

 彼女が注目を浴びた最大の理由は、議事堂前の座り込みのため学校ストライキとして授業をボイコットし、過激な言葉で気候変動問題への取り組みを呼びかけたからだろう。多くの生徒、学生が彼女の行動を模倣し、学校ストライキ運動は世界に広がり、今年3月15日には欧州のみならず日本、北米など122カ国において学校ストライキ運動と気候変動問題への取り組みを呼びかける行進が行われた。

 

 今も、毎週金曜日、世界各地で生徒による気候変動への取り組みを求める行進が行われている。4月22日にはオバマ前米大統領が、彼女の行動が切っ掛けで気候変動問題への取り組みを求め100万人以上の学生が3月にストライキを行ったとツイートした。

 英国では、彼女の行動に刺激を受けたのか、「絶滅に抵抗」と名乗る組織が昨年10月結成され、絶滅を避けるためとして気候変動問題への喫緊の取組を呼びかけ、4月にはロンドンを中心に道路閉鎖、列車運行妨害などの大規模な抗議行動を起こした。ロンドンだけで1000名以上の逮捕者を出している。彼女もロンドンに駆けつけスピーチを行い、その後国会議員との面談に出席している。

 その行動力、影響力には目を見張るものがあるが、ノーベル平和賞と言われると首を傾げざるを得ない。15歳でなく20歳の大学生が同じことをしても注目を浴びただろうか。彼女は過激な発言で気候変動問題に注目を集めることに成功したが、その陰で重要なことから関心が薄れていないだろうか。

 それよりも、彼女の発言を聞く限り、気候変動問題の科学を正確に理解せずに発言している節がある。学校よりも大切なこともあるに違いないが、多くのことをもう少し学んでから行動してはどうだろうか。ノーベル平和賞授与の前に考えるべきことは多い。

始まりは議会前座り込み

 昨年9月9日に行われたスウェーデン総選挙の3週間前、夏休み明けの8月20日から「気候のための学校ストライキ」との看板を持ち当時15歳のグレタ・トゥーンベリが学校のある時間帯に毎日ストックホルムの議事堂前で座り込みを始めた。彼女は、「政治家が科学者に耳を傾けない時に、なぜ私は勉強しないといけないの」と主張し、気候変動対策への取り組みを求めた。

 総選挙後は、毎週金曜日に座り込みを続けた。この行動が注目を浴び、座り込み開始日にスウェーデンで報道され、1週間以内には欧州主要6紙が報道し、スウェーデンとデンマークのテレビ局がインタビューを放映した。他国でも彼女の行動を真似る生徒が現れ、さらに、ドイツ、スイス、豪州などにおいて金曜日に学校ストライキを行う動きが始まり、世界の多くの国に拡大した。

 彼女は、多くのマスメディアのインタビューに答えているので、インタビューから彼女の考えを知ることができる。彼女の母親は著名なオペラ歌手だが、その著書の中で彼女がA.D.H.D.(発達障害)、アスペルガー症候群と診断されていることを明らかにしている。

 また彼女自身もインタビューの中でアスペルガーに触れている「そのため、世界を少し異なる視点で見ることができる。また、アスペルガーの人は、一つのことに特に関心を持つことが普通」と説明している。

 彼女は9歳(インタビューによっては8歳)から気候変動問題に関心を持ち、アスペルガー故に一つのことを何時間も、何年間も行うことができると説明している。

 彼女は、肉食も、無駄なものを買うことも止め、2015年には航空機の利用を止めた。翌年には母親も航空機の利用を止め、国際公演を諦めることになった。家に太陽光発電と蓄電池を導入し、郊外の家庭菜園で野菜を育てることにした。電気自動車はあるが、利用することは少なく、自転車で出かけるのが普通らしい。

 「スウェーデンは温暖化に先進的に取り組み、豊かな国は年15%排出量を削減すべきと科学者が同意しているにもかかわらず、2018年の第1四半期スウェーデンの排出量は3.6%増加している。気候変動による破滅を防ぐ政策が必要。いま戦争状態の危機にあるとしてシステムを変える必要がある」と彼女は主張している。

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