世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年6月19日

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 英国のシンクタンクIISS(国際戦略研究所)が毎年シンガポールで開催しているアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)は今年で第18回目を迎えた。6月1日の第一部では、米国のシャナハン国防長官代行が、「インド太平洋の安全保障に関する米国のヴィジョン」と題して、約35分間にわたる演説を行なった。その内容を簡単に紹介する。

(MicrovOne/katana0007/Okea/Torsakarin/iStock)

・米国は、太平洋国家として、自由で開かれ、繁栄と安全が相互に関係したインド太平洋地域にコミットし続ける。

・米国の域内貿易額は2兆3千億ドル、直接投資額は1兆3千億ドルで、中日韓3か国を合計したよりも大きい。

・国家防衛戦略及びインド太平洋戦略レポートは、米国の戦略を示す重要文書である。これを実現する予算等の支援に、米国議会は超党派であたってくれた。

・自分自身(シャナハン長官代行のこと)、ワシントン州という太平洋岸で育ち、前職のボーイング社では、30年にわたり日本、韓国、中国、シンガポール等、地域と関わってきた。

・米国が描くインド太平洋地域は自由で開かれたもので、国際協力のもとに成り立っている。それは、主権が尊重され、各国は大小にかかわらず独立していること。紛争は平和的に解決されること。知的財産権の保護を含む自由で公平かつ相互的貿易と投資がなされること。海と空の自由航行を含み国際ルール及び規範を遵守すること。

・我々は約70年間、相対的平和と益々の繁栄を享受してきた。それはあらゆる分野での米国の関与に支えられてきたものだが、今、これに挑戦するもの達がいる。北朝鮮に関しては、完全で検証された非核化が交渉されている。その他にも国境を越えた様々な課題がある。スリランカの日曜日の惨事に見たようなISISのテロ、自然災害や疫病もある。

・域内の諸国にとって最も重大かつ長期的脅威は、おそらく国際ルールに基づく秩序を破壊しようとするもの達に起因するだろう。経済的、外交的、ときに軍事的威嚇によって徐々に地域を不安定化して行く。インド太平洋で繰り広げられる彼らの行動は、次のようなことを含む。係争地域を軍事化し、軍事的威嚇で相手に妥協を迫ること。他国の内政に干渉し、内部から不安定化させること。取引において強奪的経済や負債を抱えさせるようなやり方をすること。国家主導で技術の移転を強制すること。

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