経済の常識 VS 政策の非常識

2012年1月5日

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 大阪都構想は中央のインテリには評判が悪かった。しかし、この構想の提唱者である、上山信一慶應大学教授は、「橋下(市長)が何をしたいのかは、大阪の停滞を感じてる人ならわかってる」と述べている。

低下する大阪府民の所得水準
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 確かに、大阪の衰退は顕著だ。図は、主要な都道府県の一人当たり県民所得の推移を見たものだ。2008年リーマンショックの不況の前の07年では、東京が96年より5%増加しているのに、大阪は11%も減少している。

 大阪の一人当たり所得は、96年で愛知、神奈川よりすでに低かったが、現在は静岡にも抜かれた。大阪だけでなく兵庫県の所得も低下している。関西圏が地盤沈下している。住民がなんとかして欲しいと思うのは当然だ。 

自治体の首長は
独裁者になり得ない

 橋下氏を独裁と呼ぶ人がいるが、私は、そもそも地方自治体の首長は独裁者にはなり得ないと思う。なぜなら、独裁が嫌な人は、他の地域と比べていくらでも文句が言えるし、別の地方に行けば良いからだ。

 さらに、自分の好きな地域に地方税を払えるという制度すらある(嫌いな地域に地方税を払わなくても良いのだ)。北朝鮮の独裁が続くのは、自由な選挙がないからという当然の理由に加えて、国民が他国を見ることができず、自由に他の地域に行くことができないからだ。

 批判者が、代案を出さずに独裁的だと批判しているから、橋下氏の人気が高まるのではないだろうか。代案を出せないのは、大阪の衰退を自分のこととして真剣に考えていないからではないか。地域の危機を自分のことと考えることができない人に、地域の衆望が集まるはずはない。

 ヒトラーが権力を握れたのは、失業率が3割になるという状況で、既存のエリートが何もできず、無能振りを露呈したからだ。ヒトラーの悪を糾弾するのは当然だが、既存のエリートの責任を追及しなくて良いということにはならない(なお、念のためだが、私は、橋下氏をヒトラーになぞらえている訳ではない。なぞらえている人がいるから、ついでに書いただけだ)。

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