佐藤忠男の映画人国記

2012年2月23日

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 高知県出身では脚本家の中島丈博(たけひろ)が中村町(現四万十市)。この郷里を舞台にして名作「祭りの準備」(1975年)の脚本を書いた。さらに自分で監督もして「郷愁」(1988年)も作った。いずれも四万十市にたんねんなロケーションを行った青春映画で、地方色のよく出たすぐれた映画だった。そのごは昼間のテレビにメロドラマを多く書いて主婦層に人気を得ている。

 高知市出身に漫画家の横山隆一(1909~2001年)がいるが、アニメーション映画の監督もやって、「おんぶおばけ」(1955年)その他、とぼけたおかしさのある作品をたくさん作った。

 女優の広末涼子は横浜の生まれであるが高知市で中学卒業まで育った。1994年、クレアラシル「ぴかぴかフェイスコンテスト」でグランプリを得て芸能界に入る。はじめはもっぱら、芸能人的なスレたところのない、いかにもウブなところに人気があった。高倉健主演の「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年)で、彼の幼いときに亡くなった娘の成長した姿を演じたあたりはまさに汚れのない、あどけなくさえある稚なさが良かったものである。成長してアカデミー外国語映画賞の「おくりびと」(2008年)に出演できたのはとてもよかった。

 俳優ではまず川谷拓三(1941~95年)が安芸市の出身。東映仁侠映画全盛期に大部屋俳優としてチンピラの殺される役などを全力投球で熱演。それが目立ってそれなりの面白い役がつくようになり、そんな脇役が集まって名乗りをあげた自称「ピラニア軍団」の代表格として有名になった。わめき、叫び、のたうちまわりながら映画の中で死んでいった数多くの役の代表のような存在である。

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 北村総一郎は高知市出身。文学座の俳優として長年地道に舞台で演技を磨いてきて、映画でも目立たない役でよく出ていたが、初老を過ぎてから急に注目されるようになった。「踊る大捜査線」シリーズで湾岸署の万事ことなかれ主義で部下の活躍を抑えようとする署長をユーモアたっぷりに演じてからである。俳優の人生はこうしていつ花が咲くか分からないから面白い。

 梼原(ゆすはら)町出身の俳優では下元勉(1917~2000年)がいる。新劇が主だが映画でも「真空地帯」(1951年)のインテリ兵士などが印象的だった。

 漫才で一世を風靡した横山やすし(1944~96年)、西川きよしの〈やすしきよし〉コンビがともに高知県生まれ。やすしは幡多郡沖の島村(現宿毛市沖の島)、きよしは高知市朝倉。ただしどちらも幼くして大阪に移っている。ツッコミのやすしはとくに天才と謳われたが、同時に底ぬけの破滅型の奇行愚行でスキャンダルの繰り返しが評判になった。逆にきよしのほうは大まじめな生き方を選んで国会議員になった。ともに映画にも出ているが本業ではないから特筆するような作品がないのは残念。(次回は佐賀県)


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