世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年4月25日

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 ファイナンシャル・タイムズ4月6日付で、同紙記者Heba Salehが、大統領に立候補したムスリム同胞団の副最高指導者、シャーテルは、大統領になったらイスラム聖法を適用する、と述べたと報じられており、今後エジプトがどれだけイスラム色を強めるか関心が持たれる、と言っています。

 すなわち、エジプトでムスリム同胞団が権力を握りそうなところに来ている。イスラム票を競うライバルが、母親の米国籍を理由に候補失格となりそうなため、シャーテル(Khairat al-Shater)が、大統領に選出される可能性が一気に高まっている。そのシャーテルは、超保守派のサラフィ主義者の支持を獲得しそうであり、サラフィ主義者の指導者たちに、大統領になったらイスラム聖法(シャリア)の適用を最優先すると述べた。

 シャーテルは、コンピューター・家具・紳士服・化学製品と幅広くビジネスを行い、同胞団に資金を提供してきたと見られる。その間、彼の会社はムバラク政権から妨害を受け、シャーテル自身も何回も投獄され、最近も服役中だったところを、ムバラク政権崩壊後、イスラム主義者と暫定軍評議会の合意により釈放された。

 また、シャーテルは、「ルネサンス計画」と称し、イギリス、トルコ、マレーシア、シンガポールを手本に、高失業率、貧弱な労働技能、非効率な官僚組織などに対処するための具体策も推進しようとしている。

 他方、エジプトのリベラル派政党は、シャーテルが大統領になれば、新体制下で同胞団の最高指導者がどのような地位を占めるのか、また、最高指導者に忠誠を誓っているシャーテルが最高指導者に服従するようなことになれば、エジプトはイランのようにならないのか、と懸念を表明している、と言っています。

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 記事はシャーテルが大統領選挙に勝つ可能性が高いと言っていますが、4月8日のCNN電子版は、リベラル派政党の党首Ayman Nourが、投獄の経験があるために大統領候補の資格を失っており、同じく投獄経験を持つシャーテルも資格を失う可能性があるため、同胞団は傘下の自由公正党のMohamed Morsi党首をバックアップ候補として登録した、と報じています。

 もっとも、シャーテルが資格を失っても、先般の総選挙で47%の議席を獲得して第一党となった自由公正党の党首が代替候補となるので、同胞団系の候補者が大統領に選出される可能性は高いでしょう。

 さらに、最近選出された憲法起草委員会も、同胞団系の委員が大半を占めていることから、エジプトの政治に同胞団の影響が強く反映されることになるのは間違いないと思われます。もっとも、だからと言ってエジプトが直ちにイスラム国家になるわけではなく、先ず、新憲法がイスラムをどう規定するかがカギになります。それに、同胞団自体、守旧派と若手中心の改革派がおり、イスラム一色ではありません。シャーテルも、サラフィ主義者など保守派の支持を得ている一方、「ルネサンス計画」を推進しようとしています。

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