World Energy Watch

2012年8月22日

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 将来の原発比率を決める「エネルギー・環境に関する選択肢」についての議論が続いている。各地で開催された意見聴取会では、2030年に原発ゼロの選択肢を支持する参加者の比率が68%だったと報道されている。一方、経済団体、業界団体の意見書では原発比率低下による経済への影響を懸念する声が多く聞かれる。

「国破れて太陽光パネルあり」?

 選択肢の3つのシナリオでは、いずれもエネルギー消費を削減しながら経済成長を実現する姿が描かれているが、そのような世界が実現可能か、あるいは実現するためにどんな道筋があるのかは全く不明だ。どのシナリオもエネルギー環境会議が想定した姿に過ぎない。また、再生可能エネルギー(再エネ)導入に伴う費用も前提条件として示されているが、その内容は不明だ。

 エネルギー環境会議が示した前提条件に基づきモデル計算を行った機関の一つである(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)のホームページに「マクロフレームの前提条件が過去のトレンドに比較し少し楽観的すぎる」として、独自に計算した選択肢の代替案が示されているが(http://www.rite.or.jp/Japanese/labo/sysken/about-global-warming/download-data/Options_energyenvironment_RITEproposal20120808.pdf)、エネルギー・電力供給を短中期に大きく削減しながら、経済成長を実現するとの案の実現性に疑問を持っているものだろう。節エネも再エネも大切だ。しかし、無理な計画は日本経済と我々の生活を破壊する。国破れて太陽光パネルありという姿を見たくはない。

色褪せたグリーン成長を持ち出す枝野大臣

 そんななか、枝野経産大臣が8月7日の記者会見で「再エネと省エネへの技術投資で内需を拡大できる」と述べたと報道された。原発がゼロでも環境ビジネスで経済と雇用を拡大可能という意見だ。既視感のある発言だ。 

 4年前の6月16日選挙期間中だったオバマ米大統領はミシガン州フリントの会場で次の演説をした。

 「代替エネルギーの開発により21世紀の雇用が作り出される。ドイツ、スペイン、ブラジルのような国はクリーンエネルギーにより経済成長を実現してきたことを我々は知っている。米国もグリーンエネルギー分野を確立するために今後10年間で1500億ドルの投資を行い、500万人の雇用を創り出す」。環境ビジネスで成長と雇用を創るグリーン成長戦略だ。

 環境ビジネスで経済成長と雇用を創り出すというのは、洋の東西を問わず政治家が好きな言葉のようだ。新規ビジネスとしては耳触りがよく、また期待ができると多くの人が思うからに違いない。しかし、オバマ大統領就任以降米国で起こったこと、あるいは、演説で成功例として取り上げられたドイツなどの現状を見ると、環境ビジネスで成長と雇用を創り出すグリーン成長戦略は、中国などの新興国の進出により既に破たんしているように思われる。

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