World Energy Watch

2012年7月19日

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 7月1日から太陽光発電などの再生可能エネルギーにより発電された電力の買い取り制度(FIT)が開始された。買い取り額は消費者負担だ。経済産業省は買い取りによる今年度の電力料金の値上がり額を、月300kWhを消費する標準家庭で月額100円程度としている。4人家族では電力消費量は、標準家庭より少し多いのが普通なので、負担額ももう少し多くなるだろう。

 さらに、東電管内では、原発停止による化石燃料の購入増による家庭用の電力料金の値上げが予定されている。10.28%の値上げ申請に対し8.47%の値上げで決着しそうだ。標準家庭では500円程度の値上げになるだろう。

 これで、電力料金の値上げは終わりではない。現在議論されている2030年の原発比率を決定する「エネルギー・環境に関する選択肢」の結果次第では、中期的に上がり続ける可能性がある。さらに温暖化対策費用も電力料金に反映される可能性がある。まずFITによる消費者の負担額は今後いくらになるのだろうか。

FIT負担額はどこまで上がるのか

 FITに基づく今年度の設備導入量の予想は太陽光、風力などを全て合わせて250万kWだ。現在の日本での太陽光、風力発電設備の導入量はそれぞれ300万kWと250万kWとみられている。250 万kWは相当に大きな数字に思えるが、2030年に向けて設備導入量は年間250万kW以上のペースで増加する想定になっている。

 政府のエネルギー・環境会議が6月29日に提示した将来の「エネルギー・環境に関する選択肢」では、2030年の原発の比率がゼロ、15%、20~25%の3つが示されているが、いずれのケースでも再生可能エネルギーは大きな供給量を果たす計画になっている。原発ゼロのケースでは35%の電力供給を再生可能エネルギーが担う。原発20~25%のケースでも再生可能エネルギーの供給量は25~30%になっている。

 再生可能エネルギーが35%の場合の発電量は、風力903億kWh、太陽光721億kWhだ。現状の設備稼働率に基づき計算すると、設備量では風力4300万kW、太陽光6900万 kWになり、合わせると1億kWを超える設備量になる。現在地域電力会社が保有する全発電設備量は2億kWだ。その半分を超える設備量を2030年に達成するためには、今後毎年500万kWを超える風力と太陽光設備を設置する必要がある。設備導入者にとり極めて有利な現状の買い取り価格のもとでも導入量が年間250万kWであることからすると、技術革新が進み設備製造費用が下落することが期待できるにせよ、今後も長期に亘り設備導入のインセンティブをもたらす政策を続ける必要がある。しかし、1億kWを超える設備導入は可能だろうか。

 ドイツでは、既に3000万kWの風力、2800万kWの太陽光発電設備が導入されていることから、日本でも大きな導入が可能という主張もあるが、両国の事情は大きく異なる。そして、そのドイツでも問題が発生している。

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