WEDGE REPORT

2012年9月20日

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 9月14日、日本の司法機関を統括する最高裁判所のホームページに、突如真っ赤な中国国旗をなびかせた尖閣諸島の写真が掲載された。6日経った20日現在でも各高裁や地裁を含めて最高裁が運営する全裁判所のウェブサイトが閲覧できない状態となっている。

 尖閣諸島国有化を閣議決定した9月11日以降、中国国内では数万人の群衆が連日のように各地で反日デモを繰り広げた。だがネット掲示板やミニブログで呼びかけられた抗議行動はデモだけではなかった。ハッカー集団「紅客連盟」は日本の政府機関へのサイバー攻撃を呼びかけ、最高裁をはじめ総務省や国立大学などが中国国内からとみられるサイバー攻撃によって、個人情報の流出やウェブサイトの改ざんなどの被害を受けた。

 いとも簡単にサイバー攻撃を許してしまうほど脆弱な日本の情報システム。「サイバー攻撃」によってウェブサイトが閲覧できないだけならまだいいが、我々の生命にかかわるライフラインが国家の中枢機能麻痺を狙った「サイバー戦争」に巻き込まれることはないのか。

身近に迫るサイバー戦争

サイバー攻撃で水道が止まる日が来るかもしれない(写真はイメージです)

 日本の水道が止まってもおかしくなかった─。

 経済産業省情報セキュリティ政策室の担当者は、イランの核施設を狙ったサイバー攻撃で使われたのと同様のウイルスに日本の水道施設が感染していたことを明かした。

 米国とイスラエルが仕掛けたといわれるこの攻撃では、ウラン濃縮用の遠心分離器を操作する独シーメンス製の制御システムが「スタックスネット」と呼ばれるコンピューターウイルスに感染。外部からの不正操作によって1000台の遠心分離器が破壊された。このハリウッド映画さながらのサイバー戦争に日本も巻き込まれる可能性があったということだ。この担当者によると、イランの核施設に使用されていたシーメンス製の制御システムは、日本の水道施設でも100台以上使用されており、この一部がスタックスネットに感染していたというのだ。

 制御システムは、水道、電力、ガス、鉄道などのライフラインや製造工場などで使われている装置をコントロールする。例えば、水道では水圧や水量などをセンサーで監視し、ある一定の値になるとコンピューターが自動でポンプの起動、送水管バルブの開閉などを操作する。幸い、日本の水道でスタックスネットにより実際に断水したという被害がでることはなかった。

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