中国サイバー攻撃の対処に苦しむ米国
無策の日本


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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ニューヨーク・タイムズ4月2日付で、Richard A. Clarke元米大統領サイバー問題担当特別補佐官が、中国のサイバー攻撃に対して米議会が、また議会が駄目なら米政府がしっかり対応すべきだ、と論じています。

 すなわち、中国などによるサイバー攻撃はまもなくFBIにとってテロ以上の関心事項になる、とミュラー長官が述べるなど、ここ2カ月、政府高官や民間専門家が議会で外国政府によるサイバー攻撃に警鐘を鳴らしてきた。

 米国企業が研究開発をしたのに、中国がその成果をただで入手できるようでは、米国は競争力を失ってしまう。ある米国企業が10年間に10億ドル使って入手したデータがハッカーに一晩でコピーされた事例もあり、アレクサンダー・サイバー司令部長官は、サイバー窃盗を「史上最大の富の移転」と呼んでいる。

 ところが、米議会はこうした話を聞きながら、サイバー安保法の導入に向けて動こうとしない。それなら行政府が動くべきだ。

 FBIは銀行強盗がありそうな所に張り込み、泥棒と窃盗物を取り押さえてきた。サイバー空間では泥棒の逮捕は難しいが、窃盗物を取り返すことはできる。

 現在、連邦機関にはそうしたサイバー窃盗を阻止する権限はないと考えられているが、政府機関が盗難にあったファイルの国外持ち出しを阻止する権限を与えられれば、米国の企業秘密の大規模盗難は劇的に減らせる。

 オバマ政権は、政府の監視がスパイ行為やプライバシー侵害に見られるのを恐れて、産業スパイを防止する措置の提案さえ検討していない。また中国との関係を慮る者もいる。

 しかしオバマ政権は行動を起こすべきで、そのために、議会から新たに権限を付与される必要はない。国土安全保障省は、税関の権限を使ってサイバー空間で米国に出入りするものを検査できるし、大統領は、諜報法上の「認定」を行い、インターネットを検査できる。プライバシー侵害にならずに、ファイルの盗難を止めることは可能なのだ。

議会が米国企業を中国のサイバー攻撃から守らないのなら、大統領が守らなければならない、と言っています。

                       ◆         ◆         ◆

 これは時宜を得た論説です。情報窃取のためのサイバー攻撃については、通常のスパイ行為で、国際法上の違法行為ではないのではないかという議論もありますが、それなら、スパイ行為に対するのと同様に対抗策を講じるべきでしょう。

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