WEDGE REPORT

2012年12月3日

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澤 昭裕 (さわ・あきひろ)

国際環境経済研究所所長

1957年、大阪府生まれ。1981年一橋大学経済学部卒業後、通商産業省(現在の経済産業省)入省。東京大学先端科学技術研究センター教授等を経て現職。21世紀政策研究所研究主幹も務める。

 東電は叩かれてきた。昨年の福島第一原発事故以降、東電は「悪の権化」であるかのように叩かれてきた。旧来のメディアはもちろん、ネット上や地域地域の現場でも、叩かれてきた。その結果、昨年から今に至るまで、1000人近くの東電社員が社を去った。

 もちろん、叩かれても仕方がない東電の体質があった。先日公開された原発事故時のテレビ会議の様子を見れば、オペレーターとして原発を運転する組織・人材能力があるのかと疑問に思う人も多いだろう。また、値上げに際しては、「事業者の権利であり、義務でもある」と発言した社長の感覚に、殿様商売的な東電体質に怒りを感じた人が多いことももっともだと思う。

 国から資本が注入され、多くの外部取締役が経営の実権を把握した現在、以前の「東電王国」復活はありえない。そんなことを夢想している東電OBや現役プロパーがまだいるとしたら、「あきらめなさい」と言いたい。
 
 しかし、ピンチはチャンスである。東電は、これまで自分たちでさえ経験したことがない立派な会社になることができる。なぜなら、東電パーソンの多くは、電気という経済・生活に必須のインフラ・サービスの供給を守っていきたいと純粋に思っている人たちだからだ。それは、彼ら彼女らの入社以来変わらない思いなのである。その思いを、素直に実際の仕事に結びつけていくことで、信頼は必ず回復できる。

 福島第一原発事故以降、現場で文字通り石を投げられても、罵声を浴びせられても、歯を食いしばって電気の供給を絶やさぬように、必要な仕事を黙々とこなしてきた。この人たちには、発送電分離も自由化も、全く異次元の世界での出来事だ。毎日の電気の供給こそが、東電パーソンの矜恃なのだ。

 首都を含む関東一円の電力インフラを支える会社、東京電力。東電の再生は極めて困難だが、必ず達成しなければならない重大な課題である。それは東電社員だけではなく、関東で電気を消費している我々すべてにとっての課題である。東電を叩いてばかりいても、何の前進もない。我々みんなが東電再生のステークホルダーなのである。

 だからといって、現在の東電を甘やかす必要はない。これまでの自らの欠点を自らが指摘し、改善策を用意し、即実行に移していく。その成果を世に問うことによって初めて、東電は自らを正当に再評価してほしいという資格を得られるということを、東電幹部・社員は忘れないでほしい。

 東電が世の中の信頼を回復し、「おっ、ちょっと変わったな」という評価を得るために必要な条件は3つある。

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