世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年1月21日

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 米海軍大学准教授のジェームズ・ホームズ(James Holms)が、12月14日付The Diplomat誌ウェブサイト掲載の論説で、中国の海洋管理局所属航空機の尖閣領空侵犯について、領土の実効支配における空軍の役割は限られているが、それでも、尖閣の正統的な支配者であるという中国側のメッセージを伝える有効な手段である、と指摘しています。

 すなわち、中国の海洋管理局は、B-3837哨戒機の飛行を、尖閣周辺における空海活動の一部であると認めている。日常的に航空機を尖閣上空に飛ばすことには利点がある。航空機なら、海洋監視船や漁業監視船等、非軍事中国艦船がこれまで数ヶ月に亘って行ってきたように、尖閣列島周辺の海域上空で行動できる。しかも、人員を上陸させてしまうと日中間紛争を引き起こしかねない状況下、直接、尖閣列島の上空を侵犯することもできる。つまり、リスクを余り冒さずインパクトの強いメッセージを打ち出せる格好の方法と言えよう。結果として、中国政府は日本政府に対して何らかの対応をとることを迫ることが出来る。

 空域の管理は主権事項である。しかし、領土支配における空軍の能力は限られている。故J.C.ワイリー提督によれば、空軍は空から地上を攻撃することは出来ても、有効に支配するためには地上の警官や軍人が必要である。

 しかし、中国政府が治安要員や、ましてや軍隊を尖閣列島に上陸させるとは考えがたい。武装した人員が上陸する際には武力衝突を覚悟しなければならないし、そのことで予想もつかないほどとてつもない結果を招きかねない。では航空機ではどうか。おそらく日本側は、今後、ますます頻繁に中国航空機が尖閣上空を飛行するのを目の当たりにすることになろう。中国の領空侵犯は、中国の実効支配を強化することにはならないが、中国が尖閣の正統的な支配者であるというイメージ作りには役立とう、と述べています。

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 この論説は、中国の海洋戦略について数多く評論している海軍大学のホームズによる、中国航空機の尖閣領空侵犯発生直後のコメントです。

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