コンゴで不法操業
中国漁船が世界に拡大


谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)  慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

中国はいま某国で

中国はアフリカや中南米、太平洋諸国でどんな活動をしているか。日本の報道が見落としてきた第三国での動きを追いかける。ウェッジ誌連載中のコラムを逐次アップ。

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 中国の漁船があちこちの海で問題を起こしている。禁漁区域での乱獲など金銭動機に基づくものがあれば、領海紛争の尖兵役を果たす場合もある。

13億の胃袋を満たすために

 後者は南シナ海におけるフィリピンとの紛争などで明らかだった。尖閣諸島周辺でも顕著になる恐れがある。

 いずれにせよ世界は今後、中国漁業の爆発的膨張を目撃する。魚ある所、どこへでも出かけて行く姿を見るだろう。最大の理由は無論、13億の胃袋を満たすためだ。中国は耕作地面積、灌漑用水とも1人当たりにすると世界平均より著しく小さく、少ない。海に栄養源を求めざるを得ない国だ。先の党大会で、中国共産党が海洋国家宣言をした理由の一半はそこにある。

 illegal-fishing.infoという、諸国の漁撈活動を監視するサイトによれば、中国漁船の不法活動は近年豪州、インドネシア、フィリピン、マレーシアなどアジア海域だけでなく、西アフリカのシエラレオネ、ギニア、コンゴ共和国などで目立つという。

 コンゴ共和国は2011年の8月に衛星を用いた監視システムを導入、同年12月に自国沖禁漁区で操業中の中国漁船を見つけ、69隻に退去令を出した。後は推して知るべしで、沿岸国の海上警察力が弱い場合、中国漁船はその国の排他的経済水域(EEZ)に無許可で入り、漁獲を狙うことがままある。

 シンガポールの南洋理工大学に属す章轟週という専門家が著した論文によると、中国は現時点で既に世界最大の漁業国だ。100万隻以上の漁船と、1300万人以上の従事者を抱える。わが国の場合、それぞれ約18万5000隻、17万8000人に過ぎない。

 論文は中国高位当局が10年に発表した報告書を引用し、遠洋漁業が注目を集めていると述べる。中国の第12次5カ年計画によると、10年に100万トンに達した遠洋漁獲高を15年には130万トンに、遠洋へ出て行ける漁船の数を同期間に1991隻から2300隻へ増やす意向があるようだ。

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「中国はいま某国で」

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谷口智彦(たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

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