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2013年2月27日

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浅羽祐樹 (あさば・ゆうき)

山口県立大学国際文化学部准教授

1976年大阪府生まれ。立命館大学国際関係学部卒業。ソウル大学校社会科学大学政治学科博士課程修了。博士(政治学)。九州大学韓国研究センター講師を経て、現職。近著に、『したたかな韓国 ~朴槿恵時代の戦略を探る』(NHK出版新書、2013年)、『徹底検証 韓国論の通説・俗説:日韓対立の感情vs.論理』(共著、中公新書ラクレ、2012年)。

 2013年2月25日、第18代韓国大統領に朴槿恵(パク・クネ)氏が就任した。内外に国政課題が山積しているが、中でも、北朝鮮の核・ミサイル問題への対応は喫緊の課題である。就任式に先立ち、深夜0時に国軍の統帥権(大韓民国憲法第74条第1項)をはじめ統治の全権を李明博(イ・ミョンバク)前大統領から引き継ぐとただちに、鄭承兆(チョン・スンジョ)合同参謀本部議長に休戦ラインの監視・警戒態勢に万全を期すように命じた。

「確実な抑止力」に基づく「朝鮮半島信頼プロセス」

 就任の挨拶では、「韓国が今、直面している安保環境はあまりに厳しい」という基本的な対外認識を示し、北朝鮮の核・ミサイル問題についてこう述べた。

 「最近の北朝鮮による核実験は、民族の生存と未来に対する挑戦であり、その最大の被害者はまさに北朝鮮自身となるという点をはっきりと認識しなければなりません」

 「北朝鮮は一日も早く核を放棄し、平和と共同発展の道に進むことを願っています」

 「これ以上、核とミサイルの開発に貴重な資源を消耗させ、全世界に背を向けて孤立を自ら招くのではなく、国際社会における責任のある一員として、ともに発展していくようになることを期待しています」

 「確実な抑止力を基に、南北朝鮮の間に信頼を積み重ねていくために、一歩一歩進めていきます。互いに対話し、約束を守ると、信頼は積み重なっていきます。北朝鮮が国際社会の規範を遵守し、正しい選択をすることで、朝鮮半島信頼プロセスが進展することを願っています」

 「朝鮮半島信頼プロセス」は朴大統領の対北朝鮮政策の核心である。李前大統領のように、北朝鮮が核を放棄しない限り韓国は何もしないわけでも、盧武鉉(ノ・ムヒョン)・金大中(キム・デジュン)両元大統領のように、北朝鮮が事後的であっても呼応する措置をとるかどうかとは無関係に、韓国が一貫して協力するわけでもない。一つひとつ、「互いに対話し、約束を守ることで、信頼を積み重ねていく」という一連のプロセスの中で、「新しい朝鮮半島を思い描く」(『フォーリン・アフェアーズ』2011年9・10月合併号に発表した朴大統領の論文名)ことがはじめて可能になるのだという。そのためには、「約束は守られるべきである」というメタな(=高次の)約束に、当事者すべてがまずコミットすることが重要である。

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