世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年3月13日

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 2月8日付ウェッブ米The Diplomat誌で、Linda Jakobson豪ローウィ国際政策研究所東アジア部長は、尖閣問題は、自衛艦への照射レーダーによって新たな段階に入ったが、習近平がどの位軍を掌握しているかは知る由もなく、中国の対日強硬路線は、国内政治問題もあり、続くだろう、と論じています。

 すなわち、自衛艦へのレーダー照射によって、尖閣問題は新たな危険な段階に入った。中国外務部は当初、本件について曖昧な対応を行ない、政策決定に関与していないことを暴露した。 ただ、より重要な問題は、習近平がレーダー照射を事前に了承していたのか、あるいは人民解放軍は共産党指導部から独立して行動をとっているのか、ということである。それは、わからない。習近平は党中央軍事委員会主席だが、この委員会がいつどのようなことを議論しているのかは、一切公表されていない。

 昨年、日本が尖閣諸島を国有化した後、中国は「魚釣島危機対応オフィス」を設置した、習近平がこれを率い、戴秉国副総理、軍幹部達が、数段階にわたる計画を作り上げた。中国は、尖閣の主権は日中間で係争中であることを日本に認めさせることを最小限の目標とし、日本がそれを認めれば、日中が交代で島海域を巡視すること、島周辺領海での漁業権についての交渉を推進することを狙っている。

 レーダー照射は、計画に基づいた次の段階だと言えるかもしれない。しかし、習近平がレーダー照射自体に許可を与えていたのかはわからない。レーダー照射は、おそらく北方艦隊司令部が命令したものであろう。

 中国政府筋によれば、習近平は党総書記に選出されて以来、「魚釣島危機対応オフィス」の会合には出席していないようだ。現在の中国指導部は、国内問題に忙殺されて、対外関係はおろそかになっている。そのため、外交面の監督と調整が不十分になる。こういう状況下では、偶発事件が収拾不能の事態を招くこともある。

 習近平は、尖閣問題が包含する危険性を認識していないわけではない。しかし、彼は、対日強硬姿勢を標榜する者達から、意図的に誇張された状況分析を受けることがままある。中国では、とりわけ日本となると、習近平に強硬な姿勢を要望するエリート集団が幾つもあるのである、と述べています。

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 上記Jacobsonの「レーダー照射は、中国側が『計画』に基づいて仕掛けてきた新たな一歩ではないか」という点については、疑問があります。日本の報道では、レーダー照射は民主党時代にも行われていたとあるからです。もっとも、日本政府が今回これを世界に公表したことは、中国に対して圧力となっているでしょう。

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