佐藤忠男の映画人国記

2013年6月20日

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宮崎が舞台の、堺雅人主演作品も。
『ひまわりと子犬の7日間』 2013年8月7日発売 DVD ¥2,940(税込)/Blu-ray ¥4,935(税込) 発売・販売元:松竹 (c)2013「ひまわりと子犬の7日間」製作委員会

 宮崎県出身の映画人で、いまいちばん活躍しているのは俳優の堺雅人だろう。宮崎市の出身である。早稲田大学の学生時代から劇団に所属して、「早稲田のプリンス」と呼ばれて注目されていた。ちなみに早稲田の学生演劇は戦前からたくさん、主として新劇系の俳優や演出家を輩出している。堺雅人は細い体と恥ずかしそうな笑顔でやさしい男を演じると、きわだってデリケートな人物像が印象づけられる。

 以前はこういう男優は、男らしくない、女っぽくなよなよしたタイプとして、少々滑稽に、あるいはいかにも二枚目気取りで演技するものときまっていたものだが、彼が画期的に新しいのは、それで立派に男らしいことである。たぶんいまいちばん引っ張り凧の俳優のひとりだ。それも「南極料理人」(2009年)「武士の家計簿」(2010年)「その夜の侍」(2012年)など、異色ある題材の佳作が多い。

 都城市出身の永瀬正敏も、やさしい男をよく演じてきた俳優である。高校生時代に「ションベン・ライダー」(1983年)という青春映画のオーディションを受け、5000人の応募者のなかから選ばれて俳優になったが、注目されたのはそれから6年後、やはりオーディションでアメリカ映画「ミステリー・トレイン」(1989年)に出演するチャンスを摑んでからである。一見いかにも頼りなさそうな日本人の青年の役であったが、演技に対する執念はなかなかのものであることは見てとれる。以後、頼りなさそうな二枚目から、心やさしいままに、頼もしくて男らしいというタイプに成長してきた。山田洋次監督の「息子」(1991年)と「隠し剣 鬼の爪」(2004年)がその意味で彼の代表的な演技であるし、前述の堺雅人の歩みを彼の前に歩んでいた俳優と言えるかもしれない。

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