解体 ロシア外交

2013年6月26日

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 6月半ばから世界を賑わせているのが、米国家安全保障局(NSA)が市民の通話記録やインターネット上の情報をひそかに収集していたというショッキングな情報である。それを証拠付きで暴露したのは、米中央情報局(CIA)の元職員でコンピューター技術者のエドワード・スノーデン氏(29)である。氏は、以前からあった市民に対する監視が、オバマ政権で緩むと期待していたにもかかわらず、むしろ強化されたことに失望し、その暴露に踏み切ったという。インタビューで氏は、「政府がプライバシーやインターネットの自由を破壊するのを許せなかった」と述べている。

 NSAは、情報収集はテロ対策に必要不可欠であり、実際にこれまでそのような情報によって、アメリカや諸外国のテロ事件を未然に防止できてきたとして、情報収集を正当化する一方、同氏の暴露行為を「重大な機密漏洩」だとして激しく批判している。また、米司法省も6月9日に捜査を開始した。事件発覚時、スノーデン氏は香港のホテルに滞在しており、米政府は中国側に身柄引き渡しを要求していた。それに対し、同氏は「表現の自由を信じる国に政治亡命を求めたい」と述べ、具体的にアイスランドに代理人を通じて打診をしているといわれていたが、23日には亡命先としてエクアドルの名前があがり、ロシア経由での亡命が敢行されるという見通しが報じられている(25日現在、まだロシアに滞在している模様)。しかし実は、ロシアも亡命を受け入れる積極的な構えを見せていたのだ。

G8でも主要な話題に急浮上

 その後、NSAの姉妹機関とされる英政府通信本部(GCHQ)の通信傍受疑惑も発覚し、6月17日から英国・北アイルランドで行われた主要国(G8)首脳会議(ロックアーン・サミット)でも、主要な話題として急浮上した。本問題の追及の矛先は、オバマ米大統領だけでなく、G8議長のキャメロン英首相にも向けられることとなったのである。

 だが、本問題はG8の公式の議題ではなかったため、各国首脳が非公式レベルで「国家の治安」と「個人の自由」について議論を交わすこととなった。会議2日目にオバマ大統領は、「テロとの戦い」を主題としたセッションで、個人の情報収集問題が国内で取り上げられていることを認めた上で、米国の情報収集は「合法的に行われている」と正当化に躍起となったと言われる。また、G8会談後、キャメロン首相は「情報活動は多様な形で貢献している。情報共有は国家運営にとって不可欠だ」と情報収集と英米の協力に関して釈明している。

 本件では、NSAのハッキングを受けたとされる中国(別表参照)が、これまで米国から「中国発のサイバー攻撃」を度々批判されてきた経緯に鑑み、相手を批判しながら自分も同様の行為をする「二重基準は無益だ」と表明するなど、特に激しい批判を表明している。中国はこれまでG8に参加する諸外国も懸念を表明しており、冷戦時代の「シュタージュ」の記憶がまだ生々しいドイツでは激しい反発が見られた。

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