世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月11日

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 クレアモント・マッケナ大学教授のMinxin Peiが、6月9日付WSJの論説で、北京では、共産党を憲法の支配の下に置くことを厳しく拒否する、反立憲主義が台頭しており、それは、新指導部の保守的傾向を示すものである、と指摘しています。

 すなわち、中国の外の世界ではほとんど認識されていないが、中国のプロパガンダ機関は、5月半ば以来、立憲支配(constitutional rule)の概念に反対する、激しいキャンペーンを行っている。人民日報、解放軍報などの主要な公式の新聞のほとんどが、立憲支配の概念を、ブルジョワ的で破壊的であるとして、非難する長い記事を掲載している。

 中国の文脈では、立憲支配というのは、共産党を既存の憲法の支配のもとに置くという以上のことを意味しないが、そのような控え目な提案でさえ、過激なものとみなされる。党のメッセージは明白である。すなわち、共産党は憲法の上に位置する、ということである。

 こうしたキャンペーンを、新しい指導者を喜ばせようとする党職員による官僚的行動に過ぎない、と片づけるのは誤りである。11月の党総書記就任以来、最も重要な公的演説の一つである、12月4日に行われた1982年憲法の30周年を記念する演説で、習は、「我々は、意識的に立憲主義の原理を守り、立憲主義の精神を促進し、憲法上の任務を果たさなければならない」と言っていた。プロパガンダ機関の中級の役人が、トップからの指示なしで、習の言葉に反するようなことができるとは考えられない。

 むしろ、この反自由主義運動は、よく練られた計画の一部であるように見える。5月13日に出されたとされる共産党指令は、次の7つ、すなわち、普遍的価値、報道の自由、市民社会、公民権、歴史上の党の誤り、縁故的資本主義、司法の独立、について議論することを禁止した。これは、習の「中国の夢」の考えを乗っ取って、そのエッセンスを一党支配の継続と解釈するものであるように見える。

 自由、および、制限された政府という考えについて、これほど激しく反発することは、それ自体、非常に悪いニュースと解釈すべきである。それが、少なくとも、最高指導部のメンバーたちの中にある、保守的な傾向を反映していることは、ほぼ確実である。党の立憲主義との戦いは、新指導部が求めている方向を示すものである。

 今年のはじめ、習は、広東で、ソ連崩壊を振り返る内部向けの演説を行い、ソ連の崩壊は、政治エリートがイデオロギー的信念と個人的勇気を欠いたことが原因である、と言ったと伝えられている。

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