世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月26日

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 6月19日付台湾の英字紙Taipei Times紙で、台湾智庫の幹部である頼怡忠(Lai I-chung)氏が、米中首脳会談の直後に行われた、習近平と呉伯雄(国民党名誉主席)との会談の中心議題は、中台間の政治対話や交渉を今後如何に迅速に進めるかということであった、と述べています。

 すなわち、中国は、馬英九(総統)が来年の台湾の地方選挙の結果によってはレイムダックになるかもしれないと考え、今から1年間の間に中台関係において何か具体的な成果を上げたいと焦っているに違いない。そのため、台湾に対して圧力を強めている。

 カリフォルニアでの米中首脳会談においては、習はオバマに対し、台湾向け武器売却を止めるよう強く要請した。これに対し、オバマは「台湾関係法」に基づく義務を履行すると述べ、中台間の話し合いによる関係改善を支持しつつも、同時に中国が台湾に対し政治協議に入るよう迫ることに反対すると述べた。

 今回の習・呉会談は習近平体制下の中国の対台湾政策の基礎になるものかもしれない。馬の腹心である元国家安全保障会議秘書長の蘇起が呉に同行したことは、この会談の重要性を示している。今回の会談において、呉は、馬の意向を受けた上のことと見られるが、中台関係を「一つの国家、二つの地区」と表現し、「一つの中国の枠組み」を強調して、中国に歩み寄ったように見える。

 中国は、来年秋のAPEC首脳会議を上海で主催するとき、馬英九の出席を許可するのではないか、と憶測されている。もし中台間の首脳会談が実現すれば、実際に政治協議が進まなくても、外部に与える政治的効果は絶大となろう。これはひいては米国からの台湾向け武器輸出を阻止する上でも、中国にとって重要な意味をもつことになるだろう。

 今回の習と呉の会談は極めて政治的意味合いの濃いものであり、馬政権があまりに中国に傾斜しすぎれば、米国の台湾政策に害をもたらす可能性がある、と述べています。

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 上記の通り、頼氏は、習近平体制下で中国の対台湾攻勢が強まるだろうと予測しています。

 中台間の「政治協議」にはいくつかの段階がありますが、中国にとっての最大の狙いは、米国による対台湾武器輸出を停止させることです。しかし、米国が「台湾関係法」による義務履行を変えることは考えられず、馬政権も米国からの武器購入を停止することは考えられません。

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