オトナの教養 週末の一冊

2013年8月29日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――生活習慣の中でもとりわけ睡眠が重要なことがわかりました。ところで、先生の治療では決して薬を使わないわけではないのですか?

井原氏:「薬をまったく使わない」と宣言しているわけではありません。必要のない薬を使わないにすぎません。当院当科には、他の病院で多剤処方を受けて、転医してくる患者さんもたくさんいます。そうした方々に「今日からすべての薬をやめましょう」と言うわけにはいきません。たとえばその患者さんが5種類の薬を飲んでいるとすれば、まずは1種類減らして4種類からスタートし、生活習慣を改善しながら徐々に減らしていきます。他の病院で多剤処方を受けていた患者さんの場合、当科でも最初は薬を使う治療から始めることになります。

――重度のうつ病患者さんに対してはどうでしょうか?

井原氏:重症のうつ病、特に精神病症状を伴う患者さんには薬を使います。こういった患者さんの中には、心配症が過ぎたり、猜疑心が強まったりして、ほとんど妄想のような症状を呈する方もいます。また、うつ病も重度になると、何もする気が起きず、食べることも、立って歩くことも、トイレに行くことも、一つも自力ではできない。こういう重度の患者さんには、生活習慣を指導してもこころに響きません。薬が必要です。

 しかし、パソコンを使い、サイトにアクセスして、今この記事を読めている皆さんは、その大半が「悩める健康人」です。人生の苦悩は深いでしょう。でも医学的には重症うつ病とはいえません。

――出版後、先生のもとには精神科医たちから批判は寄せられていますか?

井原氏:批判よりも黙殺ですね。今、私は全国各地から講演に呼ばれます。多くは内科開業医などの地域医師会の皆さんです。つまり、まずはプライマリケア医の方々からご評価頂いたのです。最近、うつ病業界の重鎮の方から講演のご依頼を賜りましたが、精神医学からの反響は、これからでしょうね。


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