小学校の算数ができない大学生の方が深刻な問題
分数や小数が分からない、四則演算ができない、つまり小学校算数ができない大学生が20パーセントもいるという。こちらの方が日本の将来にとり深刻な問題ではないか。大学進学率から推定して20歳の成人人口の四割程度が小学校算数を未習熟状態ならば産業全般の国際競争力の土台が危ういことになる。
小学生のカリキュラムが超過密で教師も残業で疲弊しているなかで、小学英語を廃止して算数の時間を増やすべきではないか。
英語学習はコスパが最悪
高名な大学教授の論説を思い出す。『語学習得は他の分野の技能習得に比較して余りにも多くの時間と労力を必要とする。語学学習は最もコスパが悪い』と喝破していた。教授によると日本社会で英語能力だけで高収入の職位を得ようとすれば帰国子女や外国人人材との競争となり生半可な英語力では太刀打ちできない。同じ時間と労力を費やすなら経理や財務や技術などの専門能力を習得すべきとの指摘だった。御意!
筆者の経験でも帰国子女はTOEICスコア900以上がフツウだし、外国人人材は流暢な日本語を操るので重宝される。逆に経理・財務・技術などの専門能力があり多少の英語力(英検2級程度)があれば商社やメーカーでは海外要員になれる。
ワーキングホリデーと短期語学留学への疑問
筆者は今まで数えきれないくらいのカナダ・豪州・ニュージーランドなどでワーキングホリデーや短期語学留学を経験した日本人の若者を見てきたが、英語力向上の効果については甚だ疑問を感じる。効用はいわゆる外国人慣れするだけのように思える。間投詞英語、またはパーティー英語というのであろうか。外人とチャラチャラしてワオー!とかオーマイガッド!とかクール!とか叫んでいるだけなのだ。
知的英会話をするレベルからは果てしなく遠い。『外国人と英語が喋れたらカッコイイ』というような安易な意識で渡航しても、文法・読み書きの基礎がなければどれだけ外国に滞在してもまともな英語会話力は絶対に向上しないと断言する。
読み書き・文法中心の日本の英語教育のメリット
明治以来続いてきた日本の文法・読み書きを中心とする学校英語教育を日本人は自信を持って踏襲するべきである。そのうえで各人の生活や仕事の必要範囲に応じて自助努力(学校教育以外で)で英会話の実践を重ねてゆけば必要なレベルの英会話ができるようになる。カタコト英語・カタカナ英語でも十分に通じるのだ。
そして日常的に生活や仕事で英語を必要としない大多数の日本人は英語が喋れないことを何ら恥じる必要はない。
了