解体 ロシア外交

2013年12月19日

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 12月17日、ロシアのプーチン大統領とウクライナのヤヌコービッチ大統領の会談がモスクワで行われた。会談後、プーチンはウクライナへの150億ドル(約1兆5400億円)の金融支援と、ロシアからウクライナに輸出する天然ガス価格を約3分の1引き下げることを発表した。

 ウクライナ情勢は11月末から緊迫していた。それは、前回の拙稿で簡単に触れた、欧州連合(EU)とロシアの間で揺れるジレンマが原因である。これまでの経緯は後述するが、ウクライナは現段階ではEU加盟を見送り、上記のようにロシアからの援助にこぎつけた。

旧ソ連諸国のそれぞれの東西選択

 11月28~29日に、旧ソ連構成国であったアルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、グルジア、モルドヴァ、ウクライナの6カ国とEUとの経済、政治、外交面で両者の関係を強化する方策を協議する「東方パートナーシップ」首脳会合がリトアニアの首都ビリニュスで開催された。そして、EU加盟の前段となる連合協定(AA)の締結がこの会合の肝であった。だが、旧ソ連諸国に対する影響力の維持を図るため、ロシアはそれらの諸国がAAに締結しないよう、かなり前から政治的圧力や禁輸措置などの経済制裁、エネルギー価格問題などを利用し、必死の妨害を試みてきた。

 しかし、グルジアとモルドヴァはロシアからの妨害行為にも負けず、AAへの仮署名(仮署名はAA締結の前段階であり、締結は来年以降となる)に踏み切った(ただし、モルドヴァでは親露派の抗議デモが発生した)。

 そして、ロシアと密接な関係を維持してきたベラルーシ、石油・天然ガスからの収入で経済的に潤いロシアと欧米の間でバランス外交をとりながら独立独行的な政策を維持してきたアゼルバイジャンは、かなり早い時点でAAに署名しないことを表明していた。

 アルメニアは国内で少なからず抗議行動などが起きたが、ロシアからの脅迫でAAへの署名を見送らざるを得ず、9月にロシアが主導する関税同盟への参加を表明した。

大規模化するデモ・「ユーロマイダン」

 そして、ウクライナも後述のように苦しい選択となったが、11月21日にAA署名に向けた準備プロセスの一時停止が発表されたことに端を発し、首都キエフなどにおいて抗議デモ・集会が継続して行われていた。

 また、これを受け、EUのファンロンパイ大統領と欧州委員会のバローゾ委員長は11月25日に共同声明を発表し、締結の阻止のために圧力をかけてきたロシアを批判した上で、ウクライナにEUは締結の提案をまだ取り下げていないとした上で、「短期的な考えで、関係強化による長期的な利益を台無しにすべきでない」と訴え、ウクライナを引き留めたが、結局、ウクライナはAAに署名をしなかった。

*EUの東方拡大によって近隣国となった旧ソ連6カ国(ウクライナ、ベラルーシ、アルメニア、グルジア、モルドヴァ、アゼルバイジャン)との関係を強化する枠組みとして、2009年に創設された。EUは財政支援を支柱に、各国に経済改革や民主化を促し、自由貿易協定(FTA)の締結や査証免除などで連携を深めようとしている。

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