薄煕来の「野心」に荷担した
周永康のXデーはいつ?


佐々木智弘 (ささき・のりひろ)  防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

中国メディアは何を報じているか

(写真:アフロ)

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現在、北京で持ちきりの話の1つは、周永康前中央政治局常務委員に対する拘束、或いは取り調べ、処分を当局が発表する「Xデーはいつか」ということである。

次々と拘束される周人脈

 以前、薄煕来前中央政治局委員兼重慶市党委員会書記が失脚に追い込まれたことについて、

 「薄の『野心』、すなわち習近平が兼務する国家主席や李克強が兼務する国務院総理といった重要なポストを当時狙っていたとする憶測にはかなりの説得力がある。それは江も胡も受け入れられないものだった」

 という私の見解を紹介した(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3194)。

周永康(写真:ロイター/アフロ)

 周は以前からこの薄の「野心」を支えていた人物と見られていたが、これまでのところ周に関する公式情報はない。他方、周によって抜てきされたと見られる政治家(周人脈)が昨年(2013年)後半から次々と当局に拘束されていることは確認されている。公安系統では李東生公安部副部長(現職)、石油業界系統では蒋潔敏国務院国有資産監督管理員会主任(現職)、王永春中国石油天然ガス集団副總経理(現職)、四川省系統では李崇禧四川省政治協商会議主席(現職)、郭永祥元四川省副省長などである。彼らの拘束の原因は一様に表向き「重大な法律違反規律違反」とされた。要は汚職である。しかし、本当に汚職だけの原因で拘束されたと信じる人は誰もいない。全員周絡みと容易に想像がつく。

 2014年に入り、香港紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』が1月10日付で、周の息子である周濱も汚職で拘束されたと伝えた。これで再びXデー騒ぎに火がついた。Xデー騒ぎは、一昨年(2012年)3月の薄拘束直後からこれまで出ては消えてきた。おそらく、周の処分をめぐり積極派と消極派の対立があったのだろう。しかし、今回はこれまでとは状況が異なるように思われる。すなわち、周に対する扱いが一応の決着を見たのではないか。その状況から処分は周人脈にとどまり、周自身の拘束はない、あるいはあったとしても当局が発表することはないのではないか。

 筆者がこう考えるのには理由がある。それを2014年に入って開かれた2つの大きな会議に関する『人民日報』の報道ぶりから説明することができる。

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「中国メディアは何を報じているか」

著者

佐々木智弘(ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

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