チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年2月26日

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 2014年2月半ば、中国華東地域の大都会である杭州で、不動産市場に大異変が起きた。18日、市内で分譲が始まった「北海公園」という名の新築マンションが、当初の予定価格の19500元/1平米から大幅に値下げして15800元/1平米で売り出された。今までの不動産好況から考えると、予定価格より3割近くの値下げは前代未聞の出来事であった。

 そして翌日の19日、先月から分譲中の「天鴻香謝里」と名付けられた不動産物件は突如、17200元/1平米の販売価格を大幅に「調整」して13800元/1平米で売られることになった。そうすると、値下げの前に物件を購入した顧客たちが猛反発して、物件の販売センターに押し寄せて破壊行為まで行った。

定着する「迫る不動産バブル崩壊」という認識

 杭州で起きたこの2つの「値下げ事件」は、注目すべき大ニュースとして全国的に報じられていて、不動産市場全体に大きな衝撃を与えた。たとえば「証券時報」という経済専門の全国紙は20日にさっそく一面記事で、「杭州の街で不動産価格暴落の引き金が引かれた」と報じた。翌日21日、同じく経済専門の全国紙である「経済参考報」が掲載した記事では、「杭州で始まった不動産価格の暴落はそのまま全国に広がるのだろうか」と、全国の不動産市場への波及を危惧した。

 大都会であるとはいえ、杭州という一地方都市の2件程度の不動産価格暴落が全国的に注目され、危惧されている背後には何があるのか。国全体の不動産バブル崩壊が迫ってきているという認識が定着している、という事実であろう。

 つまり、この国の不動産バブルはいつ崩壊してもおかしくないという状況下で、崩壊がいつ始まるのか固唾をのんで見守っている関係者やマスコミにとって、杭州の値下げニュースはまさに、この恐ろしい瞬間の到来を告げるような出来事となったのだ。

成約件数の大幅下落 売れなくなる不動産

 中国では昨年末から、不動産バブルの崩壊を危ぶむ声があちこちで聞こえた。例えば12月21日、北京中坤投資集団会長で全国工商連合会不動産商会副会長の黄怒波氏は、北京市内で開かれたフォーラムの席で、スペインにおける不動産バブル崩壊を引き合いに出して、「スペインの現在は中国の明日、中国で次に倒れるのは不動産業だ」と発言した。1週間後、同じ全国工商連合会不動産商会の常任理事を務める経済評論家朱大鳴氏の論文が多くのメディアに掲載されたが、その中で朱氏は「不動産バブルは一旦破裂したら取り返しのつかないこととなる」と述べ、今後数年、「このような事態の到来に備えるべきだ」と提言した。

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