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2014年2月21日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 中国の富裕層が大挙して海外に移民している。正確に言えば、金持ちの一族が海外で不動産購入や投資を通じて永住権を取得している。こうした富裕層には当然、中国政府高官も含まれる。贈収賄で貯めた財産を海外に貯金したり、不動産を買い漁るのだ。

 ただこうした状況はそろそろ転換期にさしかかっているといえそうだ。国内での「倹約令」など決まりが厳しくなり、綱紀粛正の徹底や家族の海外移住状況の報告義務化で移民が難しくなっているためだ。

なぜ中国人は金持ちであるほど移民したがるのか

 しかし、中国の金持ちにとって海外移住が難しくなりつつあるのは、中国国内の理由からだけではなさそうだ。移民受入国の事情もある。移民大国のカナダはこれまでの移民政策を変更しようとしている。そこでここではカナダの移民政策変更が中国富豪たちの移民に与える影響についての記事を紹介したい。

 『鳳凰衛視』テレビ局のサイト記事「中国の富豪4兆の資産を海外に隠す カナダは投資移民を廃止」と北京市の共産主義青年団の機関紙『北京青年報』の「カナダが移民政策取り消しについて回答:移民はカナダに貢献せず」である。

* * *

記事(1)【2014年2月15日『鳳凰衛視』ネット(抄訳)】

 カナダは2月12日に現在の移民政策を廃止することを公表した。この決定で5万人近くの中国富豪の移民する夢が砕かれた形になり、各界からの注目を浴びている。

 2013年末に胡潤百富(中国富豪ランキング:筆者)が公表した調査結果によると、2013年に移民した、あるいは移民を申請している富豪は合計で2012年よりも6.7ポイント増加し、64%に上ったという。富豪による富の流出(中国からの:筆者)は驚くべきものだ。ボストンコンサルティンググループの出したデータでは約4500億ドルに上り、同社によると中国の富豪による海外投資額は今後3年で倍増するとみられている。

 ロンドンのコンサルティング会社ウェルス・インサイト社によると、中国の富豪は現在約6580億ドル(65兆円超:筆者)の資産を海外に蓄財しており、これは4兆796億元相当で、中国の年間の財政収入の30%超に当たる額だという。なぜ中国人は金持ちであればあるほど移民したがるのだろうか。

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