WEDGE REPORT

2014年3月22日

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――これまでの大阪行政の課題について、どう感じているか。

経済人・大阪維新の会 更家悠介会長(株式会社サラヤ社長)

 「これまでの大阪の欠点は、大阪府や大阪市の各部局がそれぞれ直轄事業を手掛けてきて、ことごとく失敗してきた。たとえば、WTC(大阪ワールドトレードセンター)やりんくうゲートタワー、オスカードリームやフェスティバルゲート、ふれあい港館『ワインミュージアム』など。府と市が張り合っていて、府のりんくうゲートタワーは、市のWTCよりも10センチ高くしたりした。

 しかし、赤字が出ている中で、誰も責任を取らず、野放しにしてきた。府や市の現業職員に高給取りが多いという課題も指摘され、交通局のバスの運転手は1200万円、給食のおばちゃんも800万円。ところが、労働組合と役所の幹部、そして首長も含めた役員と議会が慣れあっていた。だから、各部局の事業は見過ごされ、労働組合は待遇を役所に飲ませる代わりに、選挙になると最大の集票マシーンになって協力した。労働組合の票は30万票ある。そういう大阪のガバナンスの問題がベースにあり、ガバナンスのあり方を変えようという議論が起きていた」

――大阪市と大阪府を統合する「大阪都構想」について、企業側からどう見ているか。

 「府と市を一体化させて、二重行政や二元行政をなくすことには大賛成だ。もともとは、広域の行政体をつくることに目的がある。まず、広域のインフラ整備や産業政策などを新しい大阪都に担ってもらいたい。これまで決断できずに遅延している事業もある。

 ただ、その裏返しとして、特に大阪市域は基礎自治の面が弱くなるので、特別区に予算と行政権限を降ろして、福祉や教育など、地域ごとのまちづくりをできるようにする必要がある。今の24ある区役所では、簡単な業務のみで権限がほとんどない。

 そして、府や市が官の事業として実施してきたものの民営化にも期待している」

 「広域行政の役割では、交通や港湾の整備。たとえば、関西国際空港から大阪市の中心部を抜けて新大阪まで高速交通をつなげる構想がある。高速道路『ミッシングリンク』もそうだ。この計画には、大阪市からも2000億円ぐらいの出資が必要だが、大阪市民にとっては何のメリットもない。広域的な話なので、市からは出せないと言っていた。それが、橋下氏が市長になって、ようやく決断した。

 港湾もそうだ。大阪港は市が管理し、堺泉北港は府が管理し、ばらばらに開発してきた。海外でポートオーソリティと言われるように、陸海空の人とモノの流れを一体的に整備してほしい。高等教育(大学)も、現状、府立大学と市立大学があるが、お互いに補完しあうことで、もっと強い力を持った地方大学になれる」

 「民営化については、地下鉄や水道事業の民営化を2002年ぐらいから経済界として要望してきている。

 水道事業では、府内には浄水場が4つある。市立が2つ、府立が2つ。最大能力は1日当たり250万トンの設計だが、毎年需要が落ち込み、今、180万トンぐらいになっている。そういう状況にも関わらず、橋下氏が府知事になる前だが、村野浄水場を2500億円ぐらいかけて改修しようという計画があった。橋下氏は、選挙公約に水道事業の民営化を掲げた。水道局には、職員も多い。民営化することで、中小企業を巻き込みながら海外にインフラ輸出するという新しいビジネスモデルも期待できるだろう。

 鉄道の民営化では、泉北高速鉄道の売却の話。南海電鉄と外資系に売却する話があった。アセットの活用や運営権譲渡の話は、これからも全国の自治体で出てくるだろう。大阪の事例は、全国の地方自治の先駆けになる。

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