世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月28日

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 2月15日号の英エコノミスト誌は、中国と台湾の政府代表が1949年以来初めて公式に会談したが、中国は将来の再統一にまだ不安を感じている、と述べています。

 すなわち、2月11日、台湾の王郁琦・行政院大陸委員会主任委員が南京を訪れ、中国国務院台湾事務弁公室の張志軍主任と会談した。公式の中台閣僚級会談は、1949年の中台分断後初めてのことだ。

 東シナ海や南シナ海が領海問題で揺れる中、かつて地域で最もギクシャクしていた中台関係は、馬政権が誕生した2008年以降、比較的平穏に推移してきた。今回の会談はこの安定を保つことが狙いだ。加えて、台湾の与党・国民党が今年の地方選挙や2016年の大統領選で敗北する可能性があることから、中国側には国民党政権の下で改善された中台関係を今の内に強化したい思惑があった。

 もっとも、会談自体は象徴的色彩が強い。中台は既に準政府機関を介して貿易、直行便の運航、観光等で協力の実績を挙げているが、60年間敵対関係が続いてきた中台の相互信頼は弱い。しかし、シンボリズムも実質の一部であり、今回の会談で安定感がさらに強まるのは間違いない。

 これまで中台は正式の会談を避けてきた。中国の指導者は台湾政府の正当化につながるような行動は絶対にとりたくない。他方、2008年以来、対中関与を主張してきた馬英九も、台湾経済にプラスになる対中関係を維持する一方で、中国に身売りしたと見られてはならず、難しい舵取りを強いられてきた。

 馬の対中関与政策は台湾経済の活性化に大いに役立ち、大陸からの訪問者は2008年の30万人から2013年の300万人に激増、中台貿易も50%以上拡大したが、内政面の失敗や不景気もあって、馬政権への支持率は10%前後と低迷している。しかも民進党が政権を奪還しようと待ち構えている。民進党が2016年の大統領選で勝てば、台湾は中国に対してより敵対的な姿勢をとることになろう。

 そうした中、習近平は昨年10月のAPEC首脳会議で、台湾問題をいつまでも先送りするわけには行かないと述べ、中国の強硬姿勢が台湾にも向かいかねないとの懸念を呼んだ。

 しかし、台湾への強硬姿勢はこれまでは逆効果しか生んでいない。1996年の台湾初の民主選挙の前、中国は台湾近海にミサイルを撃ち込んで威嚇したが、台湾の有権者はかえって熱烈な反中派を主席に選出した。

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