佐藤忠男の映画人国記

2014年4月14日

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『Sonatine』 販売元・バンダイビジュアル

 徳島県出身の映画人でいまいちばん目立つのは、小松島市出身の俳優大杉漣だろう。明治大学の学生時代、小劇場運動でユニークな活動をしていた演出家の太田省吾の演劇論に感銘を受けて大学を中退し、太田の劇団に入って小劇場の舞台俳優として長い修業をした。広く注目されるようになったのは周防正行監督のピンク映画の傑作「変態家族 兄貴の嫁さん」(1984年)や北野武監督の「ソナチネ」(1993年)あたりからだろうか。異色ある野心的な映画のなかで、ひとり飄々と、その変わった世界を当たり前のことのように気負わず楽しんでいる男がいる。それが大杉漣だった。以来、売れに売れてじつにたくさんの脇役をこなす。難しい役を軽々と演じるので重宝がられ、あまりにたくさんの作品に出て、かえって空気のようにその存在が気にならなくなって損しているかもしれない。最近では「はじまりのみち」(2013年)で、かつて松竹の社長だった城戸四郎の大船撮影所長時代を演じていたのが印象的だった。しかしもうそろそろ彼でなければやれないような超難しい役を開発して主役か準主役をやってもいいのではないか。そうして笠智衆や志村喬の後継者になってほしい。

 松本竜介(1956-2006年)は徳島県生まれの大阪育ち。かつて島田紳助と組んで漫才で一時代を築いた。映画では井筒和幸監督の「ガキ帝国」(1981年)の不良ぶりがスピードのある演技でイキが良かった。

 板東英二はもともとは野球選手。引退後、タレントとしてテレビに出てけっこう人気が出た。映画にも出たが、向田邦子のドラマを映画化した「あ・うん」(1988年)では、高倉健の親友の役で、素人っぽさがうまく生かされて日本アカデミー賞の助演男優賞を得ている。

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