迫るアジア歴訪
オバマ外交は失地回復できるか


パトリック・クローニン (Patrick Cronin)  新アメリカ安全保障センター(CNAS)上級ディレクター

オックスフォード大学で修士・博士号取得。ジョージタウン大学やジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)などで教鞭をとる。その後、戦略国際問題研究所(CSIS)などの研究機関で活躍。前職は、米国防大学国家戦略研究所所長。

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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昨秋、東アジアサミット出席を含むアジア歴訪予定をキャンセルしたオバマ大統領。中東外交に巻き込まれるケリー長官の姿と合わせ、アジアの同盟国は米国に不安を抱いた。これに対し、米国国防大学などで長い研究歴を持ち、ワシントンでも著名な戦略家は、オバマ政権のアジア太平洋への長期的シフトが一度も揺らいだことはないと見る。今回のオバマ大統領のアジア訪問は、リバランス戦略の本気度を再び示す好機だ。

 バラク・オバマ米大統領の外交政策において後世に残る業績は、米国の戦略的な優先順位をアジアにシフトさせる試みによって定義されるだろう。2013年は勢いを失ったものの、オバマ大統領が公言している狙いは、大統領が09年にホワイトハウス入りする前よりも、平和で、ダイナミックなアジア太平洋地域への関与をさらに強めた米国にすることだ。

 1期目にアジアへの「ピボット(アジア回帰)」を発表し、長期化する2つの地上戦に参加する米軍の規模を縮小した後、オバマ大統領の戦略は就任5年目に方向性を失ったように見えた。ヒラリー・クリントン氏は16年の大統領選出馬について考えるために国務長官を退任した。クリントン氏が11年にフォーリン・ポリシー誌に寄せた「米国の太平洋の世紀」と題した論文がいまなおピボットに関する最も包括的な説明であることを考えると、同氏の退任は、米国がリバランシング戦略の最たる擁護者を失ったことを意味した。

 後任のジョン・ケリー国務長官は就任するや否や、中東外交に巻き込まれた。シリアのアサド大統領が自国民に対して化学兵器などの残虐な武力を行使する一方、イランは核交渉に向け新たな突破口をもたらした。さらに、ケリー長官は中東和平交渉の復活に夢中になった。

 米国のこうした動きを、世界的リーダーシップが縮小する兆しと見る人もいた。米国政府が13年に政治と予算をめぐる膠着状態に陥ったからだ。予算の強制削減が発動したことにより、戦略の財源を賄い、国際公約を履行する米国の能力に対して疑念を生んだ。国内の機能不全とアフガニスタンからの米軍撤退は、世界からの後退を示唆していた。

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パトリック・クローニン(Patrick Cronin)

新アメリカ安全保障センター(CNAS)上級ディレクター

オックスフォード大学で修士・博士号取得。ジョージタウン大学やジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)などで教鞭をとる。その後、戦略国際問題研究所(CSIS)などの研究機関で活躍。前職は、米国防大学国家戦略研究所所長。

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