2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年9月29日

 8月26日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「中国の向う見ずな軍隊」との社説を掲げ、中国軍の挑発行為に警鐘を鳴らすとともに、米国の対応のあり方を論じています。

 すなわち、ペンタゴンの報道官は、先週南シナ海で米海軍偵察機に中国の戦闘機が20フィートまで接近したことについて非常に危険である、3月以降少なくとも3度の挑発行為があったと述べた。

 中国は米国の非難は全く根拠がなく、中国のパイロットは安全な距離をとっていた、米国の偵察飛行が問題の根幹である、と述べた。

 中国は西太平洋で危険な行為を繰り返している。中国軍機に対し日本は緊急発進を昨年度415回(前年比36%増)している。5月と6月、尖閣諸島周辺で中国は日本の偵察機に100フィートまで接近した。昨年1月には中国艦船が日本の駆逐艦に火器管制レーダーを照射した。南シナ海では米国の駆逐艦カウペンスへの接近、2009年のインペッカブル(音響測定艦)妨害事件、2001年の米EP-3偵察機と中国戦闘機の衝突が起きている。

 南シナ海での事件は12マイルの中国領海外の海域で生じている。中国はここでは他国の行動の自由を尊重すべきである。中国はEEZ内での偵察を禁止しようとしている。

 昨年、中国は防空識別圏(ADIZ)を尖閣上空に設定した。南シナ海でも同じことをすると思われるが、国際法上根拠のない「歴史的水域」主張が問題である。

 ペンタゴンは、ならず者のパイロットまたは部隊指揮官が先週の事件の背後にあると示唆したが、それなら習近平は軍に規律を守らせる機会にすべきである。しかし期待はできない。中国の挑発はこちらが押し返すまで続きそうである。

 一つの対応はリムパックへの中国の参加招請を取りやめることである。中国が対決と威嚇をする以上、演習参加からよい結果は出てこない。


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