今年6月27日に掲載した『破滅へ向かう中国経済 四面楚歌の習近平 政治介入する軍』では、中国における不動産バブルの崩壊がすでに始まったことを実例に基づいて克明に記述したが、それ以降の数カ月間で崩壊は確実に進んでいる模様である。
「早く売り捌いた方が良い」
8月1日の中国指数研究院の発表によれば、今年7月の全国100都市の新築住宅販売価格が前月比で0.81%下落し、4月、5月以来3カ月連続の下落となっているという。そして9月19日に中国国家統計局が公表した数字を見ると、8月に全国の主要都市の70都市のうち、不動産価格が下落したのは68都市にのぼる。
その中で、たとえば8月25日に新華通信社が配信した記事によると、全国の中小都市では各開発業者による不動産価格引き下げの不毛な競争が既に始まったという。開発業者が競ってなりふり構わず価格競争に走れば、それはすなわち不動産価格総崩れの第一歩であることは誰もが知るところであろう。
8月23日、山東省済南市にある「恒生望山」という分譲物件が半月内に25%程度の値下げを断行したことで、値下げ以前の購買者が抗議デモを起こした。9月3日には、広東省珠海市のある分譲物件は値段が一夜にして4分の1も急落したとのニュースがあった。そして9月15日、大都会の北京市では一部の不動産物件で30%以上の値下げが断行されたと報じられている。この一連の動きは、「総崩れ」が既に目の前に迫ってきていることの前兆であろう。
こうした中で、不動産バブルの崩壊は不可避とする声があちこちから聞こえてきた。
9月3日、新華指数公司首席経済学者の金岩石氏は「中国の9割の都会で不動産バブルが崩壊する」と警告した。また11日には、中国最大の自動車ガラス製造企業・福躍硝子集団のオーナー会長曹徳旺氏は、香港フェニックステレビの番組で「不動産バブルの崩壊は時間の問題だ」と言って投機のために不動産を持った人に「早く売り捌いた方が良い」と薦めた。そして27日、高名な経済学者で北京天則経済研究所理事長の茅于軾氏は、「中国の不動産価格は今後、半分以下に落ちるであろう」と断言した。
中国国内の実状をよく知る人々のリアリティある発言からも、どうやら史上最大規模の不動産バブルの崩壊はいよいよ、目の前の現実となってきている模様である。