インド・モディ首相の精力的なアジア外交


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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8月30日-9月5日号のエコノミスト誌が、インドのモディ首相は、日本、豪州、ベトナムを中心に精力的アジア外交を開始した、と報じています。

 すなわち、5日間の訪日を皮切りに、モディ首相の目白押しの外交日程が始まる。訪日には、インド財界の一団も随行する。当初7月に予定されていた訪日が8月末に延期されたのは、両国の友好を示す「画期的合意」実現を準備するためらしい。今やインドは中国に替わって日本の援助の大受入国である。

 日本は、モディが日本の新幹線システムを採用することを望んでいる。インドは6年前に米国と結んだような、民生用原発協力での合意も望んでいるが、インドが核不拡散条約に加盟していないこともあって、これは実現が難しいかもしれない。

 もう一つ、実現すれば非常に意味が大きいのが、インドへの15機の水陸両用機US-2の売却だ。モディはインドでの合同生産を望んでいる。インドは7月に外国人によるインド企業49%までの所有承認に踏み切っており、合同生産が実現すれば、インド防衛産業振興の目玉になるだろう。もっとも、日本側はインドが軍民両用製品の第三者への転売を禁じない限り、合意はないと言っている。

 いずれにしても、今回の訪問は日印関係を強化する上で良いタイミングだった。安倍総理は、中国の軍事的台頭に懸念を抱くと共に、米国の安全の保証にも疑念を持つアジアの「ミドルパワー諸国」が作る安全保障協力網にインドを取り込みたい。インドの専門家は、日印両国が自己主張する指導者を抱く今、両国は、中国の怒りを買うことを以前ほど恐れなくなるだろう、と言っている。

 加えて、豪州のアボット首相も同じ型のナショナリストと言える。モディは帰国後すぐにデリーでアボットを迎え、やはり原子力について協議、豪州からのウラン輸入について合意が成立する見通しだ。

 印豪関係も最近は良好で、11月にはモディの豪州訪問し、来年には初の合同海上演習が予定されている。豪州の専門家は、豪印その他のアジア諸国間の新たな絆を、中国に対する「一連のヘッジおよびバランス行動」と呼んでいる。

 そうした中、9月半ばの中国の習国家主席の訪印は、投資と貿易に重点が置かれるだろう。モディ首相は、中国に対し、慎重ながら強い姿勢を示し、首相就任式にはチベット亡命政府のサンゲイ首相を招待した。

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